2011 Fiscal Year Research-status Report
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23591720
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
丹羽 真一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30110703)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 社会認知機能 |
Research Abstract |
本研究は,統合失調症の社会認知障害を評価するための包括的検査バッテリーの開発を目的とするものである。自分と他者の関係について表象を構成する能力、その表象を用いて対人行動を行う能力が社会認知機能である。統合失調症では,この社会認知機能の障害があることが経験的に知られている。しかし,統合失調症の全体像を正確に評価する包括的検査バッテリーがまだ開発されていない。社会認知の良否は長期的な社会生活予後の重要な決定要因であり,長期的な社会生活予後を改善することが統合失調症治療の眼目であるから,社会認知の包括的評価法の開発の臨床的意義は大きい。具体的には,複数の下位検査からなる統合失調症の社会認知機能評価バッテリー案を整理し,対人機能,職業機能,自立生活機能との関連が深い下位検査を選び,「統合失調症のための包括的社会認知検査バッテリーABCSoCS(A Battery for Comprehensive Assessment of Social Cognition in Schizophrenia)」を完成することを目的とする。本年度は、ABCSoCSに用いる社会認知検査として,「他者感情の知覚」「他者の行動の知覚」「原因帰属様式」「心の理論」「自己認知」の5側面のいずれかを反映する14項目を選出した。検査項目選定後,協力の得られる福島県内の精神科治療施設の外来あるいは病棟で下記検査を実施した。この検査結果を解析し,下位検査毎の得点分布,下位検査間の相関を検討して不適切な下位検査を除去ことにより,検査バッテリー「統合失調症のための包括的社会認知検査バッテリー‐β版」を作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の第一の目標である,ABCSoCSに用いる社会認知検査の選定については,社会認知に関わる多くの検査を比較検討した後,最終的に14項目を選出した。実施時間の長さや,検査協力者に与える疲労等を考慮し,適切な候補が作成されたと考えられる。二つめの検査項目選定後,協力の得られる福島県内の精神科治療施設の外来あるいは病棟で下記検査を実施した。検査実施に当たっては,研究目的と内容、倫理規定について説明をし,書面で承諾を得られた方にのみ実施した。現在は,健常者,統合失調症患者合わせて45名の協力を得ている。検査は現在も継続して行われ,平成24年度末までに80名に実施する見込みである。以上,研究計画に沿った進行状況であることから,順調に達成していると推察される。
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Strategy for Future Research Activity |
協力の得られる福島県内の精神科治療施設の外来あるいは病棟で,新たな対象者に対して ABCSoCS-βと社会生活機能評価テストを施行する。得られた結果に基づき社会機能(対人機能,職業機能,自立生活機能)との相関が強い項目を残し,弱い項目は除外して統合失調症の治療という観点で意味のある検査バッテリーとしてABCSoCSを完成する。また,用いた各社会機能評価尺度に含まれる対人機能,職業機能,自立生活機能を評価する下位尺度のうち,作成したABCSoCSを用いる際に同時に使用するとよい社会機能評価尺度CSF(Comprehensive Social Function Scale)を作成する。ABCSoCSの有用性と信頼性を検証するために,国立精神・神経医療研究センター,帝京大学,鳥取大学に協力を得て,新たな統合失調症患者に対してABCSoCSと社会機能評価尺度CSFを4ヶ月の間隔を置いて2回施行する。新たな対象者に施行した場合にもABCSoCSとCSFの間に相関が保たれていること(有用性の検証),および2回施行したABCSoCSの評価結果の間で再現性が得られること(信頼性の検証)を確認してABCSoCSの有用性と信頼性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、引き続き協力の得られる福島県内の精神科治療施設の外来あるいは病棟で,新たな対象者に対してABCSoCS-βと社会生活機能評価テストを施行する。前年度と合わせて,80名の協力を得ることが目標である。得られた結果に基づき社会機能(対人機能,職業機能,自立生活機能)との相関が強い項目を残し,弱い項目は除外して統合失調症の治療という観点で意味のある検査バッテリーとしてABCSoCSを完成する。他方,用いた各社会機能評価尺度に含まれる対人機能,職業機能,自立生活機能を評価する下位尺度(GAF, LSP, LASMI, SASS)のうち,作成したABCSoCSを用いる際に同時に使用するとよい社会機能評価尺度CSF(Comprehensive Social Function Scale)を作成する。
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