2012 Fiscal Year Research-status Report
高機能広汎性発達障害の子どもを持つ母親に対する家族心理教育プログラムの効果
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23591723
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 敦朗 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10315880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 範雄 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20464563)
香月 富士日 名古屋市立大学, 看護学部, 准教授 (30361893)
西山 毅 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40571518)
鈴木 真佐子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (70617860)
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Keywords | 広汎性発達障害 / 自閉症スペクトラム障害 / 家族心理教育 / 母親 / 精神的健康 / 生活の質 / 育児負担 / 無作為割り付け試験 |
Research Abstract |
この研究は「高機能広汎性発達障害の子どもの母親への家族心理教育は母親の精神的健康度に変化を及ぼす。また、母親の生活の質、育児負担度の改善に効果がある。また、子どもの障害特性に基づく行動の改善に効果がある。」という仮説を明らかにすることを目的とした無作為割り付け比較試験である。名古屋市立大学こころの医療センター外来および同小児科外来、豊川さくら病院で研究対象者を募集した。また当初の計画の対象者を集めるために、豊橋市のかずおメンタルクリニックにおいても募集をし、平成24年3月までに72人の同意を取得した。これら全員にベースライン・アセスメントとしてGHQ28(精神的健康度評価項目)、SF-36(健康関連QOL評価項目)、J-ZBI(介護負担度評価項目)、ABC-J(子どもの異常行動評価項目)による評価を施行した上で、名古屋市立大学病院臨床試験管理センターにて介入群と対照群に無作為割り付けを行い、36人が介入群に、36人が対照群に割り付けられた。介入群に対しては、2週間に1回2時間、計4回の家族心理教育のセッションを施行し、セッション終了時である7週後、経過観察のための21週後にベースライン時と同様のアセスメントを行った。家族心理教育のセッションは情報提供の各1時間の教育セッションと、1時間のセルフヘルプとエンパワーメントを目的としたグループ・セッションで構成した。対照群は介入群と同時期の7週後、21週後に評価を行い、21週の評価後に家族心理教育のセッションを施行した。最終的に介入群36人と対照群36人の全員のデータを得た。結果として、21週の時点で介入群の方がGHQ得点が有意に高かったが、対照群の方がより改善していた。7週後の時点では両群でGHQ得点に有意な差はなかった。J-ZBI、ABC-J得点の低下については7週後も21週後も両群で有意な差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた必要症例数以上の被験者の同意を得て、実際に割り付けを行い、家族心理教育の実施、評価を終了し、結果を得た。平成24年7月21~25日にパリで行われたInternational Association Child and Adolescent Psychiatry Allied Professions 2012 20th World Congressにて研究分担者の鈴木真佐子が発表を行った。その後は、論文にまとめJournal of autism and developmental disordersに投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
論文がJournal of autism and developmental disordersに受理されなかった場合、他の雑誌へ再投稿をする。また得られたデータをもとに、高機能広汎性発達障害の子どもの母親のQOLの問題について、一般人口との比較や相関因子を探索する。これによって得られた知見については日本児童青年精神医学会で発表し、場合によっては国際児童青年精神医学会での発表も検討する。発表後は論文にまとめ雑誌へ投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には学会発表後に論文投稿を予定しており、繰越金についてはそれに充てることとする。
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Research Products
(1 results)