2012 Fiscal Year Research-status Report
数理モデル解析を用いた機能的MRIによる強迫性障害の意思決定神経基盤の解明
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23591724
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
成本 迅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30347463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川脇 沙織(田中沙織) 大阪大学, 社会経済研究所, 准教授 (00505985)
山田 惠 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80315960)
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Keywords | 強迫性障害 / 意思決定 / 機能的MRI / 計算論 |
Research Abstract |
強迫性障害の病態には行動選択における衝動性が関与していると考えられており、その神経基盤としては皮質線条体回路とセロトニン神経系が関連していることが示唆されている。これまでの研究から、強迫性障害患者においては腹側線条体、島皮質前部を中心とする短期の報酬予測に関与する脳領域の活動が優位になっていると仮説をたてている。この仮説を検証するために、機能的MRIにより測定した報酬課題遂行中の脳活動の数理モデル解析と、拡散テンソル画像、安静時の機能的MRIによる機能的結合の評価、構造画像による体積測定を組み合わせてマルチモーダルに評価する。また、選択的セロトニン再取り込み阻害薬による治療後再検し、脳活動の変化を検討する。 本年度は昨年度に収集した強迫性障害患者と健常者のデータの解析を行い、強迫性障害患者において、健常者と比較して有意に短期の報酬予測に関連する脳活動が腹側線条体において亢進しており、さらにその活動は背側線条体に及んでいることが明らかとなった。これは、強迫性障害患者において、線条体内の報酬予測に関連した脳活動に異常がみられることを示唆している。結果は論文にまとめて投稿中である。並行して、薬物療法後のデータの収集を行ったが、まだ解析の対象とするには症例数が足りない状況である。脳構造画像については、行動選択に関与する前部帯状回の体積を用手的に測定し、強迫性障害患者群と健常群で比較を行ったところ、有意な違いは見いだされなかった。少なくとも本研究の対象患者においては前部帯状回の体積変化は起きていないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り未服薬の強迫性障害患者について報酬課題を用いた機能的MRIのデータの解析を終え、論文の投稿を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23、24年度に収集した治療前のデータの解析を進め、結果を学会及び論文で発表する。引き続き治療後のデータ収集を進め、治療前後の比較を行う。また、構造画像、拡散テンソル画像、安静時機能的MRIのデータ解析を進め、論文にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
治療後のデータ収集が予想よりもできていないことから次年度に使用する予定の研究費が生じた。次年度は、外来の体制を強化して治療後のデータが収集できる体制を整えることでドロップアウトを防ぐ対応をとる。
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[Journal Article] Relationship between severity of obsessive-compulsive symptoms and schizotypy in obsessive-compulsive disorder.2012
Author(s)
Yamamoto H, Tsuchida H, Nakamae T, Nishida S, Sakai Y, Fujimori A, Narumoto J, Wada Y, Yoshida T, Taga C, Fukui K.
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Journal Title
Neuropsychiatr Dis Treat
Volume: 8
Pages: 579-583
DOI
Peer Reviewed
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