2013 Fiscal Year Annual Research Report
数理モデル解析を用いた機能的MRIによる強迫性障害の意思決定神経基盤の解明
Project/Area Number |
23591724
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
成本 迅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30347463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川脇 沙織 (田中 沙織) 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (00505985)
山田 惠 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80315960)
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Keywords | 脳・神経 / 強迫性障害 / MRI |
Research Abstract |
強迫性障害の病態には、長期的には不利な行動である強迫行動を不安の解消という短期的な報酬に基づき選択してしまうという行動選択における衝動性が関与していると考えられており、その神経基盤としては皮質線条体回路とセロトニン神経系が関連していることが示唆されている。これまでの研究から、強迫性障害患者においては腹側線条体、島皮質前部を中心とする短期の報酬予測に関与する脳領域の活動が優位になっていると仮説をたてている。この仮説を検証するために、機能的MRIにより測定した報酬課題遂行中の脳活動の数理モデル解析と、拡散テンソル画像、安静時の機能的MRIによる機能的結合の評価、構造画像による体積測定を組み合わせてマルチモーダルに評価した。 16名の強迫性障害患者と年齢性別をマッチさせた22名の健常者を比較した。結果として、強迫性障害患者では、短期の報酬予測に関連する脳領域が腹側線条体から背側にかけて拡大しており、健常者と比較して有意に強いことが明らかになった。すなわち、強迫性障害患者では、腹側線条体の活動が優位になっているだけでなく、本来は長期の報酬予測に関与するはずの背側線条体まで短期の報酬予測に関連して活動しているということになり、強迫性障害患者において長期的には不利になる強迫行動が維持されるメカニズムに関連していると推測される。 これらの結果については、学会にて発表し、現在論文にまとめて投稿中である。また、今後は、拡散テンソル画像と安静時の機能的MRIの結果との統合的な解析を行う予定にしている。
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