2011 Fiscal Year Research-status Report
胎児の脳機能発達と母親のストレスとの関連:オリジナル胎動記録装置を用いた検討
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23591737
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
西原 京子 (財)労働科学研究所, 研究部, 特別研究員 (80172683)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 胎児 / 妊婦 / 活動休息リズム / 胎動 / 胎動記録装置 / ストレス |
Research Abstract |
胎児の動きは、胎児のwell-beingの指標として考えられている。本研究代表者は、妊婦の睡眠中のオリジナル胎動ホームモニタリングの方法を提唱し、胎動センサー・記録・解析装置を開発してきた。この方法は、妊婦自身が手軽に自宅で胎動記録ができるので、胎児のwell-beingだけでなく、胎児の中枢神経系の発達経過を観察できる手段になる可能性がある。本研究は、胎動モニタリングにより、胎児の活動・休息リズムの形成過程から脳機能の発達を検討する。特に良好に妊娠経過を経ている妊婦だけでなく、流産が多い看護職の妊婦も対象にして、妊娠経過に沿って胎動記録を行う。 本年度では、胎動解析ソフトの改良に主眼をおいた。胎動記録は、妊婦の睡眠中に行うが、母親の体動、呼吸信号が、胎動チャンネルにアーチファクトとして混入し、その除去が必要で、そのソフト開発を行い、かなり改良できた。記録方法は、胎動記録装置とともにポリグラフィを利用して、母親の信号の混入を最小限に抑える方法を明確にし、投稿中であったMedical Engineering Physicsに記述し、受理された。 良好に妊娠経過を経ている妊婦の胎動記録を行い、上記解析ソフトを利用して妊娠週数経過に伴う胎動数の変化の結果を国際睡眠学会(Worldsleep2011, Kyoto)で発表した。なおこの学会で、子宮内胎児死亡を経験した妊婦の今回の妊娠経過、すなわちリスク要因が高い妊婦の胎動記録ができたので、ケース報告もした。 今後、胎児の活動・休息リズム解析を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎動チャンネルからアーチファクトを除き、真の胎動信号を抽出し、胎動変化指数(時間当たりの胎動数等)を算出する解析ソフトは、概ね達成できている。本年度の申請書実施計画通りである。その意味で、(2)を選んだ。しかし胎児の活動・休息リズムの解析ソフトのフローチャートを完成させて、次のステップを推進したかったが、アーチファクト除去開発ソフトに時間がかかり、困難であった。このための予算を次年度に繰り越した。 実験は、妊婦自身の参加型実験であるが、実験前の説明を十分に行い、常に連絡を保っているので、大きな問題がなく、データ収集ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児の活動・休息リズムの算出ソフトの開発を研究初年度からスタートさせようと計画したが、困難であり、その部分の予算が繰り越された。胎児の活動・休息リズムの算出は、新生児のリズム解析に応用した自己相関関数法を用いて行う予定である(Nishihara, et al, 2012)。すなわち胎動解析ソフトで抽出された胎動信号を自己相関関数法で解析できるソフトを開発し、今まで記録したデータの解析を行って、ソフト改良・再解析を繰り返し行い、結果を得る。 実験計画については、計画とおりに続行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年は、昨年の研究結果を海外(ヨーロッパ睡眠学会・オーストラリア睡眠学会)に発表する予定である。そのため旅費を多く計上した。さらにリズム解析ソフト開発費、すなわち昨年繰り越した分と、今年からコルチゾールの解析(委託)を行うので、その予算を計上した。物品費:10万、旅費:90万、人件費・謝金:20万、その他:75万
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