2012 Fiscal Year Research-status Report
ナルコレプシーに合併する各種睡眠障害の臨床特性・治療反応とQOLへの影響について
Project/Area Number |
23591739
|
Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
林田 健一 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (30338933)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 章子 東邦大学, 看護学部, 教授 (30305429)
|
Keywords | ナルコレプシー / カタプレキシー / 診断 / 発症 / QOL |
Research Abstract |
目的:ナルコレプシーは主に思春期に発症するが、未治療で経過すると、日中の強い眠気によってQOLは大きく低下する。しかし、症状発現から確定診断までに長期間を要しているケースが少なくない。そこで、本年度は、ナルコレプシー患者がどのような経緯で疾患を知り、専門医受診に至ったのか、確定診断までに要した経過を調査し、早期診断に影響する要因について検討を行った。 方法:公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター、スリープ&ストレスクリニックに外来通院中のナルコレプシー患者計181名(37.6±16.6歳、男性59.7%)を対象に、基礎背景、発症年齢、診断時年齢、疾患を知り専門医受診に至った経緯に加えて、治療前の情動脱力発作の頻度(CA)とEpworth Sleepiness scale(ESS)得点について調査を行った。また、確定診断までに要した期間に影響する要因について単変量分析および多変量ロジスティック分析を行った。 結果:発症年齢は17.8±8.8歳であり、治療前のCA頻度は31.5±54.4回/月、ESS得点は19.3±40点であった。本疾患を知り専門医受診に至った経緯は、メディアが半数以上を占め、近年はインターネットが増加傾向を示した。(p<0.001)確定診断までの期間は0-59年、平均9.9±10.1年を要していた。多変量ロジスティック分析において、確定診断までの期間には、成人発症であること(p<0.01)、近年に発症していること(p<0.001)一般医からの紹介であること(p<0.001)が影響することが示唆された。 考察:本疾患の診断には依然として長期間要しているため、早期診断のためには、引き続き一般医への教育、啓発強化に加えて、今後はインターネットを中心としたメディアにおける正確かつ詳細な疾患解説、専門医療機関の情報提供が重要であると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
治療経過を含めたデータベース作成に時間を要しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
H23~24年度で得られたデータについて詳細な解析を進め、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動合併の有無が、ナルコレプシー患者の眠気、抑うつ、QOLに与える影響や、ナルコレプシー治療反応への影響と臨床的意義を明らかにしていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまで得られたナルコレプシー患者に合併する睡眠障害と特発性の各睡眠障害との類似点および相違点を加味した上で、ナルコレプシーとその合併睡眠障害に対する総合的な診断・治療指針について検討を行う。
|