2011 Fiscal Year Research-status Report
都市在住高齢者の精神的健康度の把握とハイリスク高齢者へのアウトリーチ型介入の開発
Project/Area Number |
23591740
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
井藤 佳恵 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30455836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟田 主一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (90232082)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地域在住高齢者 / 認知症 / アウトリーチ / ハイリスク高齢者 |
Research Abstract |
方法:東京都A区在住の65歳以上の全高齢者の中で,10月から3月生まれで,要介護要支援未認定の4439人を対象に,郵送によるアンケート調査を行った.郵送調査の回答が未返送だった1344人(未回収率30.4%)のうち,75歳以上の女性327人を訪問調査の対象とした.訪問調査では,区内の訪問看護ステーションに在職する看護師の聞き取りによるアンケート調査と,精神科医または心理士によるMMSE,CDRの評価を行った.結果:調査対象者327人に調査協力依頼文を送付し,調査協力可の回答を得られた42人に対して電話連絡を行い,31人に対して訪問調査を行った.訪問調査対象者(以下,訪問群)と,郵送調査票の回答を返送した後期高齢女性(以下,返送群)の年齢は,訪問群で有意に高かった.訪問群のMMSEの平均±SD=25.41±4.24,中央値26だった.CDRは,0が23人,0.5が4人,1が3人,2が1人だった.考察:郵送調査票回答未返送の要介護要支援未認定の後期高齢女性の約1割に対して訪問調査を実施した明らかな認知症の出現頻度は12.9%,認知症疑いを含めるとその出現頻度は25.8%であった.今回は,調査協力に対して同意を得られた者を対象とした訪問調査であり,認知症の出現頻度は過小評価されている可能性がある.現在,A区では65歳以上人口の約2割が要介護要支援認定を受けており,そのうち約半数が認知症と診断されているが,今回の調査は,要介護要支援未認定の後期高齢者のうち,郵送調査票回答未返送の者の中に,生活機能,認知機能低下のハイリスク群が,高い頻度で含まれることを示唆するものである.よって,このような郵送調査票回答未返送者を対象とした訪問調査は,地域に潜在する,要介護要支援未認定の認知症高齢者の検出に有用な事業となる可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の訪問調査を施行し,データの解析を終え,学会発表の準備中である.初年度の研究を通して,このようなアウトリーチによってしか把握できない,認知症を含めたハイリスク高齢者が地域に潜在しているということが明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,初年度の調査対象者を対象として同様の訪問調査を行う.ハイリスク群と考えられる高齢者の1年後の健康指標の変化を評価することにより,その実態を明らかにしていくことを今後の研究の目的とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)調査を委託する訪問看護ステーションへの委託費(2)データ入力等委託費(3)成果発表のための経費(論文掲載料,学会参加費,学会旅費)(4)その他,雑費,諸経費
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