2011 Fiscal Year Research-status Report
虚血心筋障害、リモデリングにおける心筋間質の病態と血管新生の画像化に関する研究
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23591756
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
瀧 淳一 金沢大学, 大学病院, 講師 (10251927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 和弘 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (40143929)
小川 数馬 金沢大学, 薬学系, 准教授 (30347471)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 心筋虚血 / 心筋梗塞 / メチオニン / テネイシンC / 血管新生 / リモデリング / Galactro-RGD |
Research Abstract |
虚血再還流ラットを用いて、再還流後の心筋におけるメチオニンの代謝がどのような空間的、経時的変化をたどってゆくかを病態生理との関連において検討した。ラットの左冠動脈を30分閉塞後再還流したモデルを作成し、再還流1、3、7、14、28日、3月、6月後に、C-14-methionineならびに心筋viabilityをみるためのTl-201、area at riskの描出のためのTc-99m-MIBIを用いトリプルオートラジオグラフィを施行した。視覚的評価では、C-14-methionineの集積は3日以降にTc-99m-MIBIでの血流欠損部の内部に認めた。またmethionineの集積はおおむねTl-201の集積低下部に一致して認めたので、その集積は心筋細胞以外の間質組織への集積が疑われた。Tc-99m-MIBIの血流欠損部に相当する関心領域(ROI)における、正常血流部に対するTl-201, C-14-methionineの集積比は、再還流1日後ではTl-201, C-14-methionineの集積比はそれぞれ、0.35±0.13, 0.71±0.13といずれも減少していた。しかしながら再還流3日目にはTl-201の集積は0.66±0.10へと改善したが依然として正常部に比べ大きく低下していた。しかるにC-14-methionine は1.79±0.23と大きく増加していた。その後Tl-201の集積比は6月まで0.7-0.55の間でおおむね一定していたが、C-14-methionineの集積は7日で1.52±0.20、14日で1.31±0.12、28日で1.12±0.08と徐々に低下し、3、6月ではそれぞれ1.03±0.04, 0.94±0.04とほとんど正常部と同等となった。以上より梗塞亜急性期にmethionine集積が増加することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
虚血再還流モデルにおけるモデル作成は、心電図の監視により致死性の不整脈を早期に発見できたため死亡率が有意に低下した。従ってまとまった放射性トレーサーの投与が可能となり実験効率がアップした。またmethionineの集積、分布に関する検討は3核種オートラジオグラフィでの各トレーサーの投与放射能量の最適の比率(C-14-methionine:15-20μCi, Tl-201: 300-400μCi, Tc-99m-MIBI: 5-6 mCi)が比較的早期につかめたためスムーズに進行した。一方、Galactro-RGDの合成、作成も進み、I-125による標識は可能となったものの、多核種によるオートラジオグラフィのためのTc-99mまたはIn-111による標識が難しく、問題点として残った。従ってGalactro-RGDとメチオニンの集積分布を直接比較するための2核種同時のオートラジオグラフィの検討解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
メチオニンの梗塞後の集積分布はおおよそ検討できたので、病理学的な解析を進め、メチオニンの集積がどのような病態生理学的な要因を最も反映しているのかを検討する。更なるステップとして治療的介入による集積変化を検討したい。治療的介入としては虚血後の再還流時に、血流の再開、再閉塞を10秒毎に2分間繰り返すPostconditioningを行いメチオニンの集積がどのように変化するかをまず検討する予定である。同時にその集積変化と関連する病理学的な変化を検索し対比検討したい。一方、血管新生のマーカーであるGalactro-RGDの集積とアミノ酸代謝等を反映するメチオニンの集積の経時的、空間的な比較を行いたい。ただしTc-99mによるRGDの標識が現段階で困難であるので、I-125による標識すなわちI-125-RGDとC-14-methionineの分布を別の個体で比較検討したい。Tc-99mによる標識はかなり難しそうなのでIn-111による標識を重点的に進めたい。これが可能となればC-14-methionineとの2核種オートラジオグラフィによる集積分布の詳細な検討が可能となる。Tc-99m-RGDの標識が困難な場合にはI-125-抗テネイシンC抗体との集積分布比較に関しても可能であれば、In-111-RGDとの2核種オートラジオグラフィにて行う予定とする。動物用ガンマカメラにての経時的な体外イメージングを検討したい。まずI-111で標識した抗テネイシンC抗体にて投与から撮像のタイミングを探り、その条件にて同一個体にて経時的撮像を行い、左室リモデリングとの関連を検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は消耗品の単価の調整の関係で19300円を残したが、ほぼ予定どうリに研究に供することができた。次年度はトレーサー合成、放射性医薬品、ラット、研究発表のための旅費を中心として研究費を支出してゆく予定である。
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Research Products
(11 results)