2011 Fiscal Year Research-status Report
血管新生阻害薬の多剤併用療法における低侵襲in vivo画像評価法の構築
Project/Area Number |
23591763
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
大田 信一 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (30583637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 明永 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (00571051)
新田 哲久 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40324587)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 血管新生阻害薬 / 画像評価 / 病理評価 |
Research Abstract |
本年度は、血管新生阻害薬の単剤投与による抗腫瘍効果の比較を行い、その効果判定として画像評価の果たす役割を動物実験で検討した。初期実験として、適正な薬剤投与量の評価と画像評価方法を試行したが、予定量では経口投与群はコントロール群と比較して、腫瘍径に大きな差がないことと、投与時のネラトンチューブやシリンジ内の残存による薬剤投与量のばらつきが大きいことより、A:ソラフェニブ40mg経口投与・毎日、C:サリドマイド20mg経口投与・毎日、治療期間:1週間の条件を本実験での使用量とした。抗腫瘍効果に関して、腫瘍体積の増減率で比較すると、A:ソラフェニブ146.6±112.9%、B: ベバシズマズ94.5±10.3%、C:サリドマイド166.7±60.5%、D:無治療群319.1±154.2%であり、A-D間、B-D間で有意差(p<0.05)を認めた。次に腫瘍血管の変化に関して、造影CTによる造影効果変化率はA: 128.4±18.7%、B: 68.4±16.3%、C: 108.9±41.1%、D: 71.0±5.0%、血管造影(DSA)による造影効果変化率は、A: 118.4±41.9%、B: 71.3±9.0%、C: 80.4±24.2%、D: 58.5±27.1%となり、治療効果との関連や無治療群との有意差は認めず、予想していた結果とは異なった。血管新生阻害薬の単剤での効果は確認され、多剤併用療法への相乗効果が期待できる結果となり、24年度の多剤併用療法の抗腫瘍効果を検討する上での基礎データとなった。画像評価としては、CTによる体積評価がもっとも信頼できる結果となり、造影CTや血管造影での造影効果変化率は、抗腫瘍効果との関連が乏しい結果となったが、追加実験をして、再検討が必要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた赤外観察カメラによる腫瘍血管評価は、体表からの評価がまったく出来なかったため、開腹して行ってみたところ、腫瘍部は、大網や腹壁との癒着があり、それを切離すると出血が激しく、治療前後での評価は不可能であったため、腫瘍血管評価として行うことを断念した。病理学的評価が現在作製中であり、腫瘍内壊死率や血管新生の程度の評価ができていない。そのため病理評価と画像評価との関連・検討が行われていない。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に遅れている病理評価を完逐して、腫瘍内壊死率や血管新生増生率を求め、抗腫瘍効果と画像での腫瘍血管変化率との関連を検討する。次に24年度の予定である血管新生阻害薬の併用投与の効果を検討する。経口投与量は23年度の単剤投与の量を参考にして、【A:ソラフェニブ40mg経口投与・毎日+ベバシズマズ5mg/kg静注投与1回、B: ソラフェニブ40mg経口投与・毎日+サリドマイド20mg経口投与・毎日、C:サリドマイド20mg経口投与・毎日+ベバシズマズ5mg/kg静注投与1回、D: ソラフェニブ40mg経口投与・毎日+ベバシズマズ5mg/kg静注投与1回+サリドマイド20mg】で行うが、併用による副作用が強い場合は半減する。抗腫瘍効果と血管新生増生率が関連することが予想していたが、単剤投与による評価では関連がない結果となっている。これは肝腫瘍VX2が壊死傾向のある細胞で壊死部分が多く、活動性のある腫瘍組織は腫瘍辺縁にあり正常肝の部位と近接しているため、造影CTやDSAでROI計測を難しくしているためと思われる。N数を増やしROI計測をより厳密にして再評価し、本当に関連性がないのかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験のためのウサギ購入や麻酔薬などの薬剤購入と病理評価のための抗体の購入などの物品費に使用する。また動物実験協力や病理標本作製のための謝金、国内外の学会参加のための旅費に使用する予定である。
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