2011 Fiscal Year Research-status Report
マルチモダリティーを用いた免疫グリア細胞のイメージング研究
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23591766
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今泉 昌男 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任講師(常勤) (60528016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑澤 順 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70198745)
下瀬川 恵久 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30370258)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | イメージング / 免疫 / PET |
Research Abstract |
活性化ミクログリアを可視できるTSPOイメージング製剤(11C-PBR28)の合成環境整備と毒性試験を行った。11C-PBR28合成の標識前駆体を用いたloop-SPE法により、最適な合成条件下で11C-PBR28を合成することに成功した。TSPOイメージング製剤は毒性試験においても問題なく、臨床応用への方向に本課題を遂行していける結果を得ることができた。研究施設における短寿命放射線性薬剤安全管理委員会でも臨床使用が認可されている。臨床応用への準備に平行してラットにおける受容体占拠試験も本年度行った。同条件下で合成した11C-PBR28の体内分布を正常ラット群と非放射性PK11195投与ラット群で比較した。11C-PBR28 5MBqを尾静脈から投与し、対向型ポジトロンプラナー装置(浜松フォトニクス製)にて体内全身分布の動態撮影を行った。非放射性PK11195投与ラットではPK11195 10mg/kgを前投与し、2分後に11C-PBR28 5MBqを尾静脈に静注し、直後から同様の体内分布撮影を行った。正常ラットの11C-PBR28の体内分布は脳、肺、心臓、腎臓に分布した。一方、非放射性PK11195投与ラットでは心臓や肺への特異的な11C-PBR28分布を認めず、軟部組織や腸管、肝臓への分布が観察された。以上の結果は過去の霊長類での検討結果に一致しており、本法で合成された11C-PBR28は非放射性PK11195により特異的集積が阻害されることが示され、TSPOへの特異的結合を反映することが明らかとなった。さらに、健常人での体内分布を評価するために参考となる動物実験データを本年度の研究を通じて得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性化ミクログリアを可視できるTSPOイメージング製剤(11C-PBR28)の合成環境整備と毒性試験が順調に進んでいる。最適な合成条件下で11C-PBR28を合成することが可能になり、既に研究施設における短寿命放射線性薬剤安全管理委員会でも臨床使用が認可されている。本年度に達成目的である動物モデルを用いた研究と同時に、実際に健常人での臨床応用も本格的に進めていくことが可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基にして、高分解能半導体PET装置および一体型PET/MR装置を利用して担癌モデル・免疫関連モデル動物でもTSPOイメージングを行う。TSPOは、対応する正常組織より前立腺癌、乳癌、神経膠腫、卵巣癌、結腸癌において高いことが報告されている。18F-FDG(糖代謝)、11C-酢酸(アストロサイト特異的代謝)、11C-methionine(アミノ酸代謝)等のポジトロン核種とも組み合わせ、モデル動物でのin vivoイメージングを同一個体で行い、多方面の代謝的側面から免疫組織学的な病態解析とも比較検討を行う。免疫学組織解析はミクログリアも含めた浸潤炎症細胞種の同定、各種アポトーシス関連マーカーも測定を行う。11C-PBR28を用いて、臨床用PET/CTで、健常人における全身イメージングを行う。海外ではTSPOが結合しない非結合症例(Non-binder)が約10%程度存在することが報告されている。遺伝子多型やポルフィリン輸送との関連性等が示唆されているが明らかにされていない。当施設での健常アジア人でのTSPO分布を解析し、臨床研究や臨床診断に活用するための健常データベースを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これらの研究内容を海外でも報告し、海外での研究グループとの交流をさらに深めていく予定である。臨床研究に必要な健常被験者のリクルートを行う必要もあり、これらの準備を進めていく。TSPOイメージングが新たなバイオマーカーになり得るか臨床的に検証を行う。これら得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。さらに臨床応用がなされると放射性薬剤の合成頻度が増えてこれらにかかる費用が必要となる。TSPOイメージング製剤の合成に必要な薬剤、備品等に研究費が必要と考えられる。
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Research Products
(1 results)