2011 Fiscal Year Research-status Report
3次元画像解析によるベータ線内用療法の治療精度向上に関する研究
Project/Area Number |
23591778
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 茂樹 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (80402395)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 骨転移 / 疼痛緩和治療 / 放射免疫療法 / 3次元画像化 / 制動X線 / 画像解析 / 線量測定 |
Research Abstract |
塩化ストロンチウム (89SrCl2)は、癌の骨転移に対する疼痛緩和治療薬として使用されている。90Y-イブリツモマブ チウキセタン療法 (90Y療法)は、Rituxemab治療後に再発した非ホジキンリンパ腫(NHL)患者、濾胞性もしくは転移性NHL患者の治療に適用される。89Srおよび90Y生体内分布の画像化ができれば、集積部位、周辺臓器の線量が決定できるばかりか、限界投与量の決定、経時的治療効果の判定、再投与の検討が可能になる。さらに、89Srおよび90Yの3次元画像と他の検査画像とを比較することで、集積部位の特徴の解明につながり、治療の精度が飛躍的に向上すると考えられる。 本年度の研究成果として、ガンマカメラの複数ウインドウを用いる89Sr由来の制動X線による骨転移治療時の3次元画像化、および90Y由来の制動X線および111Inガンマ線の3次元同時画像が放射能定量に適することを証明した。さらに、分解能および感度を改善し、その測定精度および検出下限を決定し、CTとの画像重ね合わせが可能になる画像処理プログラムを構築した。これらの成果に基づいて、ガンマカメラを用いて患者データの収集を開始した。 ガンマカメラの複数ウインドウを用いる89Sr由来の制動X線による骨転移治療時の3次元画像化、および90Y由来の制動X線および111Inガンマ線の3次元同時画像化法は世界初である。 これらの方法を用いた89SrCl2および90Y-Zevalinの生体内分布画像解析による集積線量評価は、これまでの実験的あるいは111Inガンマ線を用いて代替的に構築された集積線量データベースに代わって、新たなデータベースとなり得る。さらに限界投与量を予測することで、これまでよりも正確な薬剤の投与により、治療効果が上昇することが予想される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、ワークステーション用PCを用いて、CTとの画像重ね合わせ可能な画像処理プログラムに90Yおよび111In同時画像の分離プログラムを組み込み、さらにMRIおよび他の検査画像と重ね合わせ可能なプログラムを作成し、臨床検討用画像処理システムを構築した。さらに、新たな画像処理法として、コリメータ開口補正法を加えたAstonish法を採用することにより、89Srおよび90Y由来の制動X線の3次元画像の分解能および感度の改善させることができた。また、制動X線3次元画像が放射能定量に適することが明らかとなり、その測定精度、検出下限も決定することができた。 これらの成果はすでに国内および国際学会にて発表することができた。よって、当初の目標を確実に達成できた。 一方、90Yおよび111In分離画像が臨床適用可能であることの証明については、PETカメラを用いて90Y由来の消滅γ線を捕らえて画像化し、ガンマカメラを用いた90Yおよび111In分離画像と比較する予定であったが、PET装置の設定に若干の問題点が発生したため、今年度、PET装置の改善を行った上で、再度、試験する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、、PETカメラを用いて90Y由来の消滅γ線を捕らえて画像化し、ガンマカメラを用いた90Yおよび111In分離画像と比較するPET装置の改善を行った上で、再度、測定精度、検出下限を決定するとともに、90Yおよび111In分離画像が臨床適用可能であることの証明については、PETカメラを用いて90Y由来の消滅γ線を捕らえて画像化し、ガンマカメラを用いた90Yおよび111In分離画像と比較する。 臨床試験については、画像の転送システムを早急に構築し、当初の計画通り、病巣集積線量および周辺臓器の集積線量決定に関する画像解析を行う。検査は、89Sr治療では投与後疼痛が緩和し患者の同意が得られた時期とし、90Y治療では薬剤投与2日後もしくはそれ以降に実施する。実施時期は、主治医が決定する。画像収集条件は、89Srおよび90Y治療薬投与後にSPECT/CT装置を用いて2次元分布画像およびCT画像を得る。撮像部位は、病巣部とし、事前に得られたPET画像(90Y治療)および骨シンチ画像(89Sr治療)を参考にする。撮像部位の決定は主治医が行う。画像処理は、新たに考案した画像処理方法に基づいて89Sr および90Yの3次元画像を得る。得られた3次元画像とCT画像とを重ね合わせる。視覚的に画像の89Sr および90Yの集積状況を比較する。89Sr および90Yの集積部位に関心領域(Region of Interest: ROI)を設定しROI内の計数値算出し、集積部位の放射能を決定する。得られた放射能から89Srおよび90Yの摂取率を算出する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は、臨床試験での画像データおよび関連するCT, MRI等の画像データの医療現場での画像処理には膨大な記憶容量を必要とし、即座に画像処理を必要とする。このため、高性能ノート型PCを購入し、現在のワークステーションの機能を持ち運びできるようなシステムを構築する。 国内および海外での89Sr および90Yのを用いる治療成果および関連する最先端の研究の動向を把握するため、欧州核医学会ならびに日本核医学会に参加し、情報収集し、本研究に活用する。研究成果の一部を国内学会等に発表するとともに、その成果に対する意見を広く聞くことにより研究推進の方向性の確認を行う。
|
Research Products
(6 results)