2012 Fiscal Year Research-status Report
PET性能評価法に基づいた3D-PETにおける定量値施設間比較校正法の研究
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23591790
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 敏秋 岩手医科大学, 医学部, 助教 (20438500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
世良 耕一郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00230855)
寺崎 一典 岩手医科大学, 医学部, 講師 (60285632)
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Keywords | PET / 性能評価 / 施設間校正 |
Research Abstract |
本研究の目的は①PET性能評価法の短縮研究②PET装置の性能評価の項目、試験回数の検討③PET定量値評価ファントムの作製からなっている。①の短縮研究においては昨年度報告済みである。②の性能評価項目と試験回数の検討については本来、PETの性能評価のためには「FDG-PET検査における撮像技術に関するガイドライン」のすべての項目が必要となる。そこではPETの基本性能からソフトウェアに関する項目までPET装置の性能評価に関する項目が網羅されているが、PETユーザがすべてこれらの項目をこなすことは非常に困難である。またこれらの項目は直接PET臨床定量値の評価に影響を与えないことが試験回数の決定を困難にしている。また施設により撮像法ガイドラインのすべての項目データを取り出すことが出来ない場合もある。そのためPET性能評価の測定はその施設がデータを容易に取り出せる項目の選択が必要である。試験回数は正確にPET装置の性能が維持されているかを確認するために必要であるが、装置が経年変化により劣化してきている場合には特に重要と考えられる。項目は空間分解能、絶対感度、不均一性、「がんFDG-PET/CT撮像法ガイドライン第二試験」、脳ホフマンファントムとした。これらをもとに各PET施設の性能を比較実験する。基礎実験としてPETファントムの基準濃度の変化が性能評価に与える影響とNEMA IEC Bodyファントムの球体インサートのSUVの変化を測定した。これはNEMA IEC Bodyファントムを実験媒体として使用する場合の実験の精度をより高めるために必要となったものである。③の定量評価ファントムは現在検討中である。これはPET装置のレンジがPET濃度と直線性を持っていることが一つの条件となるためこれらを考慮したファントムの作成が必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに作製した基準と測定項目に従い、他のPET施設に測定を依頼し実験を行った。項目は空間分解能、絶対感度、不均一性、「がんFDG-PET/CT撮像法ガイドライン第二試験」、脳ホフマンファントムである。これらの項目はどのPET装置においてもユーザが測定でき、データの取り出しも可能であるためメーカを介する必要がなく、ユーザ自身がPET装置の状態を把握出来るものとなっている。ただし各項目には厳しい条件が定められている。通常はこれらの条件を探すのに大変苦慮する。理由は撮像法ガイドラインの条件に一致させることが困難なものも含まれているためである。またガイドラインに従った厳しい条件で行ったとしてもユーザの違いがPET性能評価に与える影響を完全に取り去ることは出来ない。そのためそれらの条件を可能な限りガイドラインに準じ、PET性能評価実験を実施するためにFDGの使用量を条件として設定した。結果は解析中である。これによりある程度他の施設の患者の定量値を自分の施設データとして把握することが可能となる。現在はFDGを使用した実験はいくつかの施設を残すのみとなっている。他に密封線源のPET性能評価用の条件を決定することと、定量評価ファントムの作製が今後の研究の中心となる。
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Strategy for Future Research Activity |
PET性能評価で利用される薬剤はほとんどがFDGである。その量を測定は通常ドーズキャリブレータで測定するが、厳密にはバイアルあるいはシリンジの量と形状により変化する可能性がある。そのため厳密にはドーズキャリブレータの値は他の施設と同じ値とはならない。それはPET性能評価の誤差要因に含まれる。さらにPET性能評価のためのファントム実験も捜査する人間または装置の操作性の観点から多少の誤差を生じる。FDGの場合は減衰という時間制限があるため実験の手技がPET性能評価に影響を与える可能性も秘めている。しかしFDGの代わりに密封線源を使用した場合にはそれらの影響がないと考えられる。問題点は通常密封線源は一個で測定することとなるが、それらは通常空間分解能、等にしか現在は使用されていない。感度、部分容積効果には使用出来ていないため、それらの実験のモデルを作成する必要がある。短軸直行ロボットで形態を決めて球形、線条、点等に線源の配置を決定し、ファントムとの違いを見る予定である。 NEMA IEC BODYファントムのインサートの球は通常直径10から37mm径まで合計6個存在する。これらにより球の容量が把握出来るため、密封線源とBODYファントムの値を比較してその妥当性を探る予定である。その後に施設間比較を実施すればさらに正確な施設間校正に近づくと考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在のPET装置は悪性腫瘍の発見と悪性度の評価に特化した装置ともとれる。そこでの定量値施設間校正とは半定量値としてのSUV(standardized uptake value)の値を、標準化を表す指標とすることになる。現在治験等ではPETデータの施設間の違いが問題となっており、今後増える可能性のある多施設共同研究において、PET施設間の性能評価試験は必要な課程となる。現状はPETの画像を比較しどの施設でも同じような画像となるようにPETの再構成条件を決定し、施設間のPET RIの分布の異なりを可能な限り小さくし、実際の治験に利用している。しかし性能評価の面から施設間校正を検討する場合は感度あるいは計数を施設間でそろえて行うのが正しいやり方と考えられる。そこで今期の使用計画としてはBODYファントムを購入し、密封線源との比較、いまだ実験を依頼して終了していない施設で実験を行うための旅費、ナトリウム線源移動用の3軸直行ロボットに対しての固定具の作製を行う。定量評価ファントムの設計と作製ついてはPET装置の計数率のレンジとRIの量を考慮しファントム作製と実験を行う必要がある。これらは前述したSUV値とは異なり脳循環代謝領域の脳血流量の定量値評価に対しての研究となる。PET脳循環定量値は外部の血液カウントとの関連があるが当面はPET画像に対するRIの濃度の変化によりPET装置がコントラストを得られるのかに焦点を当てる予定である。
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Research Products
(2 results)