2011 Fiscal Year Research-status Report
マルチスライスCT透視を利用した穿刺ナビゲーションシステムの構築
Project/Area Number |
23591803
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
辻岡 勝美 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (80193176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 良一 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (80319251)
吉村 公美子 名古屋大学, 医学部, 教務職員 (90419151)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | X線CT / マルチスライスCT / CT透視 / CT下穿刺術 / アーチファクト / 被曝線量 |
Research Abstract |
マルチスライスCT装置を用いた多断面CT透視は肺生検等のneedle aspiration術の正確な施行に有用である。しかし、従来の多断面CT透視の表示は複数のCT画像を同時に監察する必要があり、術者が瞬時に穿刺針の三次元的位置を理解するのは困難であった。今回、多断面CT透視の表示法の改善、刺入精度の向上、さらに、患者および術者の被曝低減を目的に研究を進める。第一に多断面CT透視の表示法の改善では従来の複数表示ではなく、各CT画像上の刺入針をCT値差により抽出して色情報を持たせ、その色情報を持った画像を目的断面に重ねることで観察する画像を1枚のみとする。今回、刺入針の抽出のためのCT値設定について基礎実験を行なった。第二の刺入精度の向上ではCT透視時にアーチファクト発生が問題となる。今回、CT透視時のアーチファクトの特性と刺入針の針先位置の正確さについてファントム実験を行なった。第三の患者および術者の被曝はCT穿刺術の大きな問題である。しかし、近年、CTの画像再構成法として逐次近似を利用した手法が開発され被曝低減が可能となってきている。我々は画像ベースの新しい逐次近似法をCT透視時に利用することで被曝低減が可能と考える。この手法を用いることで刺入針の形状を維持したまま画像ノイズを低減できることが基礎実験で確認できた。 これら、3つの項目の基礎実験は現在進行中であり、それぞれを学会等で発表、論文かする計画である。特に被曝低減の検討はマルチスライスCT透視術の重要な要素であり、今後、速やかにファントムを利用した被ばく線量の実測を行なっている予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表示技術の改善については刺入針の抽出のためのCT値設定についてファントム実験を行った。刺入針のCT値は人体のCT値よりも十分に高いため、抽出が容易であるが、その設定値により刺入針の太さ、長さが正確に表示されないことがある。今回、我々のファントムを用いた実験により、人体CT値と刺入針のCT値の中間にCT値設定を行えば、正確な太さ、長さを抽出できることがわかった。CT透視時のアーチファクトの検討では静止および動態ファントムを用いて実験を行った。実験の結果、視覚的にはアーチファクトの発生は見られたが、そのCT値は刺入針のCT値よりも小さいことが確認できた。このことはアーチファクトと刺入針を識別するための重要なポイントとなる。今後、アーチファクトの定量、視覚的評価を行う予定である。被曝低減は本研究の最も新しい項目である。交付申請時の研究目的決定の時点では画像ベースの逐次近似画像処理が存在せず、被曝低減についての方策がない状況であった。しかし、最近になってDICOMデータから高速で画像処理できる手法が開発され、CT透視でも被曝低減が可能と予想される。今後、CT透視時の画質の向上、被曝低減を数値的、視覚的に評価する予定である。表示技術、刺入精度の向上については順調に研究が進んでいる。被曝低減の研究は実験のためにファントムを作成している。
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Strategy for Future Research Activity |
表示法の改善ではCTデータの取得とデータベース化、視覚評価の実施を行なう。刺入精度の向上ではファントムを用いたアーチファクト評価、刺入精度の検定を行なう。被曝線量の低減ではファントムを用いた患者および術者の線量測定を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
刺入精度の実験のために穿刺術を模した動態ファントムを作成する。被曝線量測定のために線量計およびファントムを購入する。
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