2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591814
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 國治 名古屋大学, 医学部, 教授 (20335053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 充 名古屋大学, 医学部, 教授 (50184437)
川浦 稚代 名古屋大学, 医学部, 助教 (60324422)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CTアンギオ検査 / 脳動脈瘤 / 脳梗塞 / 画質評価 / 適正X線線量 / 逐次近似再構成画像 / 仮想単色X線 |
Research Abstract |
本申請研究の主たる目的は、脳卒中CT検査における被ばく線量(重要臓器線量)とCT画像の画質との関係を明らかにし、最適プロトコル確立のための基礎情報を与えることである。本年度は、CTアンギオ検査(CTA検査)に主眼を置き、脳動脈瘤検出に必要な線量とCTA画像の画質について検討した。その研究概要を以下に示す。1.脳梗塞ファントムの作製 2.三次元(3D)-CTA画像の画質と線量との関係項目1に関しては、申請者が所属する大学の医師教員の意見を参考に脳梗塞部位を決定し、さらに、論文等に記載されている脳梗塞部のCT値や大きさをもとに図面作製等を行った。その結果、CT画像上の急性期脳梗塞部位、つまりEarly CT Signが忠実に再現でき、解剖学的にも人体と等価な頭部ファントムが完成した。それ故、脳梗塞部の検出を検討する上で有益な頭部ファントムになると思われる。次に、項目2についてであるが、当初の計画通り、様々な撮像条件(X線管電圧:80-140kV、実効mAs値:49-350mAs)で重要臓器の一つである水晶体の吸収線量(水晶体線量)を測定した。水晶体線量はX線管電圧及び実効mAs値の上昇と共に増加した。そこで、単位吸収線量当たりどれぐらいの画像情報が得られるかを検討するため、申請代表者が考案したBRR解析法を用いて3D-CTA画像の画質を評価した。BRR(=情報利得/水晶体線量、単位:bit/mGy)はX線管電圧の上昇と共に減少する傾向を示した。また、実効mAs値を増加させても、それに見合った情報は得られず、80kV、252mAs(メーカー推奨値)で最大BRR値となった。以上の結果から、X線管電圧を80kV、実効mAs値をメーカー推奨値程度に設定した上で3D-CTA検査を行うことが望ましいと結論づけ、無闇に実効mAs値を増加させても余計な被ばくが増加するだけであることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画では、以下に示す項目を検討事項として掲げた。1.脳梗塞ファントムの作製 2.CTA画像における脳動脈瘤検出とX線線量との関係まず、項目1についてであるが、頻繁にファントム作製に関する打ち合わせを実施した成果もあり、計画よりも早く脳梗塞ファントムが完成した。(研究計画では平成23年12月を完成予定としていたが、9月に目的とするファントムが完成)これを受け、来年度に計画していた「脳梗塞ファントムを用いた線量測定と画質評価」に関する実験を年度末に実施することができ、計画当初よりも早い進行状況になっている。さらに、この実験を通じて、新たな課題が見つかった。それは病変(脳梗塞部分)輪郭をどう評価するかである。そこで、申請者代表者を中心に、病変輪郭を定量的に評価する新しい解析法を考案し、その評価結果の妥当性について検討を行った。その結果、ファントム画像上の病変輪郭が、適切に評価できていることが示され、病変輪郭の定量評価を含んだ上で、脳梗塞ファントム画像の画質評価を行うことにした。次に、項目2に関しては、計画通りに実験及び解析が進み、これまでにない知見(X線線量を無闇に増加させても、あまり画質は改善されず、線量に見合っただけの画像情報が得られないと言う結果)が得られ、一定の成果を上げることができたと思われる。この研究で得られた成果は、計画通り、国内で開催される学会や国際会議等で発表した。さらに、海外の著名な放射線医学雑誌にその成果を投稿し、掲載されることにもなった。この論文を作成する上で、重要な解析法の一つであるTop-hat変換型CNR解析法に関する論文も、世界の4大電気系学会の一つである電気学会の論文誌に掲載されることになり、研究計画通り、研究成果は世界に発信できているのではないかと思われる。以上の進捗状況をふまえると、現在までの研究はおおむね順調であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、「急性期脳梗塞部の検出に必要な画質とX線線量の査定」、「仮想単色X線CT画像による脳梗塞及び脳動脈瘤の検出能の検討」を行う予定であり、特に、平成24年度では前者の項目を重点的に行う。「現在までの達成度」で述べたように、実験は昨年度すでに完了している。それ故、本年度ではその実験結果を解析する。具体的な検討内容は、以下の通りである。平成24年度に実施する画質評価は、Axial像を対象に行う。その評価項目は、脳血管ファントム画像の場合と同様、1)画像ノイズ及びCNRによるコントラスト分解能の評価、2)ストリークアーチファクトの定量評価、3)BRR指標を用いた情報量解析を予定している。さらに、4)昨年度考案した病変輪郭解析法を用いて、脳梗塞部分の輪郭評価を行い、この評価結果を併せて、どのような撮像条件の時に、急性期脳梗塞部が明瞭に描出されるかを定量的に検討する。さらに、どの程度の被ばく線量(水晶体線量)になるかについても査定する。近年、逐次近似法による画像再構成アルゴリズムが開発され、画質改善と被ばく線量軽減を示唆する報告が、散見されるようになった。しかし、このアルゴリズムで再構成されたCT画像が、急性期脳梗塞検出に有用であるかについては、ほとんど検討されていない。そこで、申請当初には計画していなかったが、このアルゴリズムで再構成されたCT画像が、脳梗塞部位の検出に有益であるかについても検討する予定である。その検討内容は、上述した1)~4)であり、従来のCT画像(Filtered Back Projection(FBP)法によって再構成されたCT画像)との比較検討を重点的に行う予定である。さらに、この画像再構成法によって、どの程度被ばく軽減が見込めるかも併せて検討する。以上の項目で得られた結果は、随時、学会や研究会等で発表し、最終的には投稿論文として世界に発信する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本申請研究を遂行していく上で重要となる脳梗塞ファントムは、計画通り、平成23年度に購入した。従って、平成24年度は、研究計画書に記載した通り、多くは研究に必要となる備品(特に、コンピュータや関連機器)や学会発表・情報収集のための出張費に充てる予定である。研究成果の公表は、もっぱら英語で行うため、英語を母国語とするネイティブ・スピーカーによる校閲が必要となる。従って、研究費の一部は、研究計画書に記載した通り、「論文校閲費」と「論文別刷り費」に充てる予定である。なお、平成24年度は、前年度からの繰越額はございません。
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Research Products
(13 results)