2012 Fiscal Year Research-status Report
球状ビーズの血管内動態と最適化に関する検討:血管塞栓術のパラダイムシフトに向けて
Project/Area Number |
23591819
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大須賀 慶悟 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90332741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東原 大樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90423186)
前田 登 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00506488)
日高 国幸 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (50437430)
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Keywords | 血管塞栓物質 / 球状ビーズ / 塞栓深度 |
Research Abstract |
血管塞栓ビーズの血管内挙動と塞栓深度の検証を行った。ビーズ注入にある程度時間を要すること、ビーズの緩和は初期到達点より開始されること、ビーズ単体の緩和時間が約300秒であることなどを考慮し、主に弾性で規定される初期到達点及び、主に粘弾性で規定される最終到達点の評価は、各々、注入完了1分後、及び5分後が妥当と判断した。これに基づき、イヌ腎臓モデルにおいて、トリスアクリルゼラチン・ビーズ(TGMS) を用いて探索実験を行った。TGMS 500-700μm 浮遊液を腎動脈より1mL注入し、1分後及び5分後に腎動脈を結紮後、各々、腎を摘出し、病理学的にビーズの末梢到達深度(塞栓深度)、塞栓部位における粒子径、及び粒子の変形を検討した。塞栓深度は、level 1〜5(1=本幹〜1次分枝, 2=葉間動脈, 3=皮質-髄質境界, 4=小葉間動脈近位, 5=小葉間動脈遠位)に分類した。粒子の変形は、ひずみ度(%)=(長径-短径)/(長径+短径)x100を指標とした。その結果、病理組織評価において、1分後結紮と5分後結紮時の平均粒子短径は各々342±64.4μm及び392±84.4μm、ひずみ度は、8.6±5.8%及び5.3±4.1%、平均塞栓深度は2及び2.5であった。 ビーズの塞栓深度は、level 2〜2.5と比較的中枢側に留まり、腎動脈径に対してビーズ径が相対的に大きかった可能性がある。1分後から5分後にかけて平均塞栓深度はやや深まっており経時的な粒子の移動が示唆されるものの、5分後においてもひずみ度は低く、TGMSにおいては粘弾性の影響は低い。次年度は、弾性や粘弾性の異なるビーズとの比較を行った上で、最適な塞栓エンドポイントの探索に努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従って、球状ビーズの血管内挙動を病理学的に良好な状態で観察するためには、中枢側の血管内でビーズが凝集することなく、個々のビーズが十分血管末梢レベルに到達する必要がある。実際にはビーズの粒子径、浮遊液の希釈倍率、及び浮遊液の注入速度などによりビーズの血管内の末梢到達性は影響を受けるため、これらの注入条件設定に試行錯誤を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験で調整したビーズの注入条件に基づいて、イヌ腎動脈モデルにおいて規定量の各種ビーズを注入後に動脈を結紮、腎臓を摘出し、病理学的に各時相における各ビーズの塞栓深度と粒子径・変形の程度を観測する。ビーズ周囲に惹起される血管壁及び周囲組織の反応についても病理学的に評価し、材質・表面積などとの関連を検証する。また、各ビーズについて、腎動脈区域枝レベルを異なるエンドポイントで塞栓を行い、十分な梗塞率を示す最小限のエンドポイントを至適エンドポイントとして探索する。一方、そのような至適エンドポイントにより肝動脈を塞栓した際に、胆管壊死や肝梗塞などの肝障害を惹起しないか、肝のビーズ塞栓術に対する忍容性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験において、実験動物・実験器具・試薬の購入、病理標本の作製、及び飼育環境などに対する費用が発生する。研究発表その他においては、各種会議・学術集会への参加、資料作成、出張費、人件費・謝金などが見込まれる。
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