2013 Fiscal Year Annual Research Report
球状ビーズの血管内動態と最適化に関する検討:血管塞栓術のパラダイムシフトに向けて
Project/Area Number |
23591819
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大須賀 慶悟 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90332741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東原 大樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90423186)
前田 登 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00506488)
日高 国幸 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (50437430)
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Keywords | 血管塞栓術 / 血管塞栓物質 / 球状ビーズ |
Research Abstract |
球状血管塞栓物質(ビーズ)は、粒子径に応じて塞栓深度が予測できる。しかし、ビーズの血管内挙動は物性の影響も受けやすく、塞栓様式によっては不測の作用を来しうる。本研究では、物性の異なるビーズにおける血管内挙動や臓器虚血の違いを検討し、最適な塞栓様式(エンドポイント)を探索した。独自に開発した流動ファントムでは、ビーズが完全に静止するまでの制動距離は長いが、静止後の変形や位置変化は乏しく、粘弾性を現象として捉えることは困難であった。イヌ・モデルを用いた実験では、高弾性・高粘弾性のEmbosphere(ES)及び低弾性・低粘弾性のEmbozene(EZ)を比較した。腎動脈塞栓完了1分後及び5分後の塞栓深度は、ES・EZとも5分後でやや遠位部を塞栓したが、塞栓部位での粒子の変形に有意差はなく粘弾性の影響は低いと思われた。次に、2種類のエンドポイント(限局塞栓vs.完全塞栓)について、腎及び肝臓の梗塞惹起について比較した。腎では、両ビーズとも完全塞栓の方が全梗塞を起こしやすいが、ESと比べてEZでは完全塞栓後でも部分梗塞が有意に多かった。一方、肝臓では両ビーズとも梗塞は認めず、塞栓の影響は乏しかった。追加実験として、腸管虚血についても検討した。異なる粒子径及び粒子量のESを用いて腸間膜末梢を塞栓し、血管造影所見と病理所見の対比を行った。特に小さい粒子径(100-300μm)ではエンドポイントによらず高度の腸管虚血を生じたが、それ以上の粒子径(300-500, 500-700μm)ではvasa rectaの限局塞栓で腸管虚血を最小限に軽減できた。ビーズの最適エンドポイントは臓器と目的に応じて異なり、実質臓器の完全な阻血効果を得るには、高弾性・高粘弾性のビーズによる完全塞栓が適当と示唆された。一方、管腔臓器では、300μm以上の粒子径による限局塞栓が適当と示唆された。
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Research Products
(4 results)