2012 Fiscal Year Research-status Report
進行肝細胞癌に対する新規肝動脈化学療法の開発と分子標的治療併用の意義
Project/Area Number |
23591821
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
日高 勲 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70593440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 隆弘 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (00304478)
内田 耕一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80397992)
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Keywords | 肝動注化学療法 / 肝細胞癌 / ミリプラチン |
Research Abstract |
我々はこれまでに肝細胞癌に対する経血管的治療として、固形塞栓物質を用いず、リピオドールと微小デンプン球(DSM)の両者を併用する新たな肝動注化学療法を考案し、シスプラチンを用いた臨床研究を行っており、その有用性を論文などに報告した。 本研究の目的はシスプラチンよりもリピオドールとの親和性がよいミリプラチンを用いてリピオドールとDSMの両者を併用する新たな肝動注化学療法の有用性を検討することである。平成23年より、従来の肝動注塞栓療法の適応症例を対象とし、無作為割り付けによる2群(ミリプラチン+リピオドール群:DSM非併用群、ミリプラチン+リピオドール+DSM群:DSM併用群)比較試験を、山口大学医学部附属病院医薬品等治験・臨床研究等審査委員会の承認を得て、開始している。本研究では、ミリプラチンの最大使用量は120mgとし、腫瘍の個数や最大径でリピオドールの最大投与量を変更することとし、腫瘍5個以下かつ最大径5cm以下ではリピオドール6mlまで(A群;DSM非併用群、B群;DSM併用群)、腫瘍6個以上10個以下もしくは5cm以上10cm以下ではリピオドール6ml超過10mlまで(C群;DSM非併用群、D群;DSM併用群)とした。 平成23年度および24年度に22症例の登録を行い、治療を施行中である。22症例の内訳はDSM非併用群 例(A群:7例、C群:3例)、DSM併用群(B群:5例、D群:7例)である。これまでのところ、特に重篤な合併症は認めておらず、安全に治療を施行できており、今後も継続していく予定である。今後、無増悪期間や抗腫瘍効果、全生存期間などの有用性について検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的はミリプラチンを用いた新たな肝動注化学療法の有用性の検討である。平成23年度より順調に臨床研究を開始できている。平成25年11月までに100症例の登録を目標としているが、平成24年度末までの登録症例数は22症例であり、やや少ないと考える。今後さらなる適応症例の登録が必要である。 また、血管新生因子などのサイトカインを測定し、分子標的薬の意義についても検討予定であるが、使用するキットの特性(測定検体数、使用期限)のため、現時点では検討できておらず、25年度に検討予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ミリプラチンを用いた新たな肝動注化学療法の有用性の検討に関する臨床研究への登録を継続し、治療を行う。 また、無増悪期間や抗腫瘍効果、全生存期間などの有用性について検討する。 登録症例におけるTGF-βなどの血管新生因子を測定し、治療効果との関連についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度より検討を開始しているミリプラチンを用いた新たな肝動注化学療法の有用性に関する臨床研究を継続する。研究を推進するための消耗品に研究費を充てる。 また、有用性について、無増悪期間や抗腫瘍効果、全生存期間など統計学的解析を行い、有用性を確認できれば学会、論文等に成果を発表する。 さらに、ELISAキットを購入し、TGF-βなどの血管新生因子を測定、肝動注化学療法の有用性との関連について検討する。 平成24年度に血管新生因子などのサイトカインを測定する予定であったが、使用する予定のELISAキットには使用期限があり、測定対象となる検体数不足のため、測定できなかったため、未使用額が生じている。次年度は新たな肝動注化学療法の有用性に関する臨床研究の継続に加え、血管新生因子などのサイトカイン測定を行うため、この未使用額は測定キットなどの消耗品として使用予定である。
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Research Products
(3 results)