2011 Fiscal Year Research-status Report
チミジンホスホリラーゼ阻害剤に基づくがん内用放射線治療薬剤の開発
Project/Area Number |
23591826
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
秋澤 宏行 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (90311795)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 放射線 / 核医学 / がん治療 / 内用放射線治療 / チミジンホスホリラーゼ |
Research Abstract |
チミジンホスホリラーゼ(TP)は、多くのがんに高レベルに発現し、がんの血管新生、浸潤、転移と深く関連しており、TP阻害剤はがんに特異的に高い集積を示す。そこで、このTP阻害剤を細胞殺傷性の高い放射線を放出する放射性同位元素で標識し、その放射線の作用によりがん細胞を破壊し、がんを治療する、内用放射線治療に用いる放射性医薬品の開発を目的とする。 申請者らは、これまでにウラシルの6位側鎖にイミダゾリジニル基を有し、5位にヨウ素を導入した化合物IIMUが強いTP阻害作用を有し、その放射性ヨウ素標識体はTP特異的集積を示すことを明らかにしてきたが、平成23年度には、IIMUを用いる担がんマウスのSPECTにおいて、TP発現腫瘍を明瞭に描出することを示すことができた。これを治療薬剤とするためには細胞殺傷性の高いI-131の導入が必須となるが、詳細な条件検討の結果、再現性の高い安定したI-131の標識法を確立することができた。IIMUを基にして、6位にアミノ基、水酸基やイミダゾリジニル基、ピロリジニル基など窒素を含む環を有するウラシル類を設計合成し、TP阻害活性の測定やインビトロ実験を実施した。その結果有効性が示唆された化合物について担がん動物における体内動態を調べたところ、がん組織への集積を認めたが、治療薬剤としての有効性を示すには不十分であった。さらに、がんへの集積率がより高い分子の細胞殺傷性ヨウ素標識体を合成し、薬物動態の評価を実施する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チミジンホスホリラーゼ(TP)阻害剤を基にウラシル類を設計、合成し、有効性の期待される化合物について、がん細胞殺傷評価や体内動態評価を実施しているが、標識体合成が難しく、評価の実施が遅れた化合物がある一方で、体内動態評価まで進行した化合物もあり、全体としてはほぼ順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
TPに特異的な集積が期待されるが標識体合成が難しい化合物について、合成経路の再検討を行うことにより問題を解決する。TP発現培養がん細胞に対する細胞殺傷効果を評価し、効果の認められた放射性化合物をマウスに投与し、体内分布を検討する。これにより、生体内安定性を検討するとともに各組織、臓器の放射線量評価を行い、当該化合物の投与量のレベルを評価する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TP阻害活性が強くがんへの集積率がより高い分子のヨウ素標識体の合成を実施し、薬物動態評価を進めるためには、一般合成試薬やRIを含む薬品類、実験動物、器具などの購入が必要となる。
|
Research Products
(3 results)