2011 Fiscal Year Research-status Report
EGFシグナル阻害による癌治療計画の支援システム構築を目指した新規診断薬の開発
Project/Area Number |
23591828
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
平田 雅彦 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (00268301)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ピペリジン誘導体 / SPECT / 分子イメージング / 核医学 / 放射性ヨウ素 / EGFR / チロシンキナーゼ / T790 |
Research Abstract |
現在、様々な上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR-TK)阻害剤が開発され、臨床利用されているが、副作用や患者のQOL、医療経済効果の観点から、治療効果予測や早期治療効果判定、さらには、薬剤耐性出現の早期把握が重要である。従って、これらを検出しうる診断技術の開発が切望されている。申請者は、これまでに、EGFR-TK阻害剤の治療効果予測や早期治療効果判定を可能にする新規画像診断薬剤の開発に成功した。本研究では、EGFR-TK阻害剤耐性に着目し、その要因であるEGFR-TK遺伝子の2次変異あるいはPI3キナーゼ活性化により生じるEGFR-TK阻害剤耐性を早期に検知し、癌治療計画を支援可能な画像診断システムの構築に有用な新規放射性分子イメージング薬剤の開発を行う。本年度の研究では、画像診断によるEGFR-TK阻害剤を用いた癌治療計画支援システムの構築のために(2)EGFR-TK阻害剤奏功癌の薬剤耐性を早期検出するための新たな分子イメージング薬剤の開発を計画した。Zhouら(NATURE 462 24-31 2009)は、「門番役」のタンパクのアミノ酸残基であるCys797に着目し、この残基と共有結合を形成することによってT790M型EGFRと不可逆的に反応する化合物のスクリーニングを行い、数種のピリミジン化合物を同定した。中でも、WZ4002はCys797との共有結合が形成されて変異型の門番役残基と相互作用していることが示された。申請者は、このことに着目し、T790M変異を検出しうる新規分子イメージング薬剤として、新規ピペリジンのヨウ素誘導体のドラッグデザインを行い、合成した。既報の合成法を基に数段階の反応を経て目的の新規ピペリジン誘導体の合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画として、新規化合物の合成、インビトロにおけるEGFR-TK阻害活性の測定、放射性ヨウ素標識化合物の合成を順次行う予定であった。新規放射し医薬品の開発では、新規プローブの合成に最も時間がかかり、合成が達成されない限り、新たな化合物の評価を行うことはできない。したがって、本年度の研究において、新規誘導体の合成に成功したことは、研究の大幅な進捗を意味しており、おおむね順調に研究が遂行できているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規に合成した阻害剤の有用性を評価するため、新規誘導体のin vitroにおけるリン酸化阻害活性を測定し、母体化合物であるWZ4002や代表的なEGFR-TK選択的阻害薬であるZD1835と比較する。続いて、放射性ヨウ素標識化合物の合成を有機スズ-放射性ヨウ素交換反応により行う。さらに、新規[125I]誘導体WZ4002のEGFR-TKに対する親和性を評価するため, 酵素試料として数種類(A431、 H1650、 H1975、 H3255、 PC9等)のヒト由来癌細胞、ネガティブコントロールとしてB細胞白血病細胞(NALM-6)よりそれぞれ抽出した膜画分を用い,インビトロでの放射性ヨウ素標識新規化合物の結合特性を調べるとともに[125I]標識体の細胞による取り込みとEGFR-TK特異性について検討する。また、放射性ヨウ素標識WZ4002誘導体の体内動態の検討し、放射性ヨウ素標識WZ4002誘導体の癌集積性の検討数種類(A431,H1650,H1975,H3255,PC9等)癌細胞を用いて胆癌モデルマウスを作成し、新規125I標識誘導体の癌集積性について、体内分布実験と同様に行う。特に2次変異株とゲフィチニブ奏功株に関して比較を行い、画像による2次変異検出の可能性について検討する。また、非放射性EGFR-TK阻害剤を前投与したマウスを用いて同様に実験を行いEGFR-TKに対する特異性について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画どおり使用する予定である。
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