2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591829
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
須郷 由美 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90354836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 茂樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (10450305)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 分子プローブ / 環状ペプチド |
Research Abstract |
医療用テクネチウム(Tc-99m)の供給不足による深刻な事態に備えて、Tc-99mを用いるSPECT検査よりも感度や定量性の点で優れたポジトロン断層撮影法(PET)による診断が可能で、半減期が比較的長くデリバリー輸送も可能なポジトロン放出核種Cu-64を標識した新規PETイメージング薬剤の創製を本研究の目的とする。具体的には、既に体内動態が明らかで臨床利用されているTc-99m製剤の構造をベースとして、錯体化学的な見地から安定なキレートを形成する新規なCu-64標識分子プローブを設計し、合成する。さらに、動物実験による生体内での安定性評価、動態解析、およびPET撮像を行い、核医学診断薬としての有用性を明らかにする。今年度は、Tc-99mに替わる有効な検査法がなく高い需要が見込まれる腎臓疾患に対する核医学診断薬の開発を本研究のターゲットとし、新規な分子プローブの設計および有機合成実験を行った。腎選択性の高いメルカプトアセチルグリシルグリシルグリシンのペプチド骨格と、銅と安定なキレートを形成する1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンのテトラアザ環をあわせもつ新規環状ペプチド化合物を数種類設計し、効率よく反応させるための合成スキームを考案した上で、有機合成実験を行った。アミノ酸を原料とし、アミノ基やカルボキシル基の保護・脱保護反応、活性化エステルとの縮合反応などを繰り返し行い、環状ペプチドの前駆体である鎖状ペプチドの中間体を合成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間1年目にあたる今年度は、当初の計画通り分子プローブの設計および有機合成実験を行い、目的とする化合物の合成中間体を得ることができた。今後は環化反応を経て、サイクロトロンで製造したCu-64を用いた標識実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、数種の新規分子プローブを設計し、並行して合成実験を進めてきた。次年度以降、合成できたものから順次Cu-64の標識化、in vitro、in vivoでの評価を実施し、より優れた化合物の設計へとフィードバックさせることで、効率よく目的とするCu-64標識PET薬剤の開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成した化合物の精製に用いるためのガラスチューブオーブンを初年度に購入する予定であったが、他のグループにて不要品として保管されていた物品を修理すれば使える見込みがあったので、不要物品を有効活用するためにも今回新規購入を見送り部品交換による修理を行うこととした。次年度以降の研究経費については、主に薬品およびガラス器具等の消耗品の購入にあてる予定である。
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