2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591829
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
須郷 由美 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90354836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 茂樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (10450305)
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Keywords | 放射性同位元素 / ポジトロン |
Research Abstract |
国内外での核医学診断に最も多く用いられているTc-99mの供給不足による深刻な事態を回避すべく、現在進められているMo-99の国産化計画とは異なる視点から、Tc-99m製剤によるSPECT検査に替わる新たな診断法を導入することを目指して、海外に依存せず国内での生産が可能で、半減期が比較的長くデリバリー輸送も可能なポジトロン放出核種であるCu-64を標識した新規PETイメージング薬剤の創製を本研究の目的とする。 今年度は、銅と安定なキレートを形成する1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンのテトラアザ環を基本骨格とした新規環状ペプチド化合物の合成実験を前年度に引き続き実施するとともに、サイクロトロンを利用して分子プローブの標識化に用いるCu-64の製造実験を行った。 有機合成実験では、特に鎖状ペプチドの環化における反応性が低かったことから、各種の縮合剤を用いて質量分析計により反応を追跡しながら反応条件の最適化を試みた。低分子のポリアミドは構造的にフレキシビリティに欠けるため、環化反応が非常に進行しにくいものと考えられる。Cu-64の製造実験では、(p, n)反応を利用して、Ni-64で濃縮された酸化ニッケルをターゲットとし、AVFサイクロトロンから生じる約10 MeVの入射エネルギーをもつプロトンビームを電流値5 μAで一定時間照射した。照射後のターゲットを塩酸水溶液に溶解した後、キレート交換樹脂を用いた分離精製を行い、高純度の無担体Cu-64を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的とする新規環状ペプチド化合物の合成において、構造的な制約から鎖状ペプチドの環化反応の収率が低く、標識実験に供するための十分量を得られなかったため、当初予定していた標識実験まで進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
目的とする新規環状ペプチド化合物の合成において、課題である環化反応の反応条件を十分に精査し最適化することで、Cu-64の標識化および生体内での安定性評価等を実施するのに十分な量の目的化合物を得る。 また、別のアプローチとして鎖状ペプチドに銅と安定な錯体を形成するキレーターを導入した新規分子プローブの合成も並行して行い、核医学診断薬としての有用性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に実施予定のin vivo実験の準備に必要な動物実験用機材の一部を購入する予定であったが、研究の進捗状況がやや遅れていたことから先行しての購入を見送ったため残予算が生じた。 次年度以降の研究経費については、主に動物実験用機材のほか薬品およびガラス器具等の消耗品の購入にあてる予定である。
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