2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23591829
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
須郷 由美 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (90354836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 茂樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (10450305)
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Keywords | Cu-64 / ペプチド |
Research Abstract |
Tc-99mは、現在100%輸入に頼っており安定した供給が危惧されている。Tc-99mに替わり得る核医学診断用核種として、医療用小型サイクロトロンでも製造可能なCu-64を標識した新規PETイメージング薬剤の創製を目的として、本研究を実施した。 まず、銅と安定なキレートを形成する新規環状ペプチド化合物を数種類設計し、有機合成実験を行った。特に、構造上の制約により鎖状ペプチドの環化における反応性が低かったことから、各種縮合剤を用いて反応条件を十分に精査した結果、ジメチルホルムアミド(DMF)中ジイソプロピルエチルアミン共存下で、鎖状ペプチドとペンタフルオロフェニルジフェニルホスフィネートをそれぞれDMFで十分に希釈した溶液をマイクロシリンジポンプでゆっくりと混和することで、室温のもと効率よく環化を進行させることができた。また、別のアプローチとして、鎖状ペプチドに既知のキレーターを導入した新規分子プローブの合成も並行して行った。 サイクロトロンで製造したCu-64を用いた標識実験では、温度、溶媒、反応時間などを変化させて反応条件の最適化を行った。得られた標識化合物のin vitroでの安定性を、高速液体クロマトグラフィーを用いて分析した結果、生理食塩水や緩衝液中では長時間経過後でも安定であったのに対し、マウスおよびヒトの血漿中では、血漿中に含まれる加水分解酵素の働きで特定の部位が選択的に切断されてしまうことを、コールド体を用いた液体クロマトグラフ質量分析装置の分析から明らかにした。より安定性を向上させるためには、生体内で代謝されにくいD体アミノ酸や保護基を導入するとともに、環状構造さらには架橋構造をとることが重要であると考えられる。 最終年度である平成25年度は、本研究で得られた成果をペプチドおよび放射化学に関する2件の国際会議で発表した。
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Research Products
(3 results)