2013 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者に対する根治的放射線治療適応基準の確立に向けた研究
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23591830
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鬼丸 力也 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80374461)
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Keywords | 高齢者 / 体幹部定位放射線治療 / 肺癌 / 脊髄神経鞘腫 |
Research Abstract |
北海道大学病院にて放射線治療を受けた患者のデータベースを探索したところ、特に2000年代に入ってからは高齢肺癌患者に体幹部定位放射線治療が多く行われていた。この治療成績を検討し米国放射線腫瘍学会にて報告を行った。80歳以上の患者65人を検討し、3年生存率は54.6 %(95 % Confidence Interval (CI):42.4 to 70.3%)、5年生存率は47.4 %(95 % CI:34.4 to 65.3 %)であった。Progression free survival (PFS)は3年で42.4 %(95 %CI : 30.6 to 58.6 %)、局所制御率は3年で74.4%(95 % CI : 62.4 to 88.7 %)であった。間質性肺炎のあった患者でGrade3の放射線肺臓炎を発症したが、その他のGrade3の有害事象の発生は認めなかった。体幹部定位放射線治療は高齢者に対して安全かつ有効性の高い治療であることが示唆された。以上の結果を米国放射線腫瘍学会でポスター発表を行った。 体幹部定位放射線治療が高齢者に有効である可能性が高く、他疾患で体幹部定位放射線治療の有効性が見られていないか検討したところ、脊髄神経鞘腫に対する放射線治療が重篤な合併症の発生も無く腫瘍の増大も見られなかった。9例の脊髄神経鞘腫の患者を3次元原体照射にて50Gy/25回で8例、66Gy/33回で1例治療した。経過観察期間の中央値は72ヶ月であった。3mm以内の縮小が4例、3mm以内の増大が3例、腫瘍サイズに変化が無いものが1例、8mmの増大を示したあとに腫瘍サイズが変化しなかったものが1例であった。Grade3以上の毒性は見られなかった。現在論文投稿中である。 体幹部定位放射線治療は高齢者に対する効果が高く安全な治療であることが示唆された。高齢者に対して根治的な治療を行っても他病死の可能性が高いため、その意義を強く主張するためには根治的治療による生存率の改善を示す必要があり、標準化死亡比や傾向スコアを用いた比較などの検討を行っているところである。
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