2013 Fiscal Year Annual Research Report
がんの相同組換え修復能の特性に基づいた放射線治療とPARP阻害剤の併用療法の開発
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23591836
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細谷 紀子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00396748)
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Keywords | 癌 / 相同組換え / 放射線 / PARP阻害剤 |
Research Abstract |
減数分裂特異的分子SYCP3は、正常の体細胞では発現しないが、様々ながんにおいて低メチル化により異所性に発現する。研究代表者は、SYCP3の体細胞における役割について検討を行い、SYCP3が体細胞において発現すると、がん抑制遺伝子産物BRCA2と複合体を形成して相同組換え修復機能を抑制することを明らかにした。その成果をもとに、前年度までに、SYCP3発現細胞がPARP阻害剤に極めて高い感受性を示すこと、また、SYCP3発現細胞において、PARP阻害剤とDNA損傷性処理を併用した場合の方が、PARP阻害剤を単独で投与した場合に比べて殺細胞効果がより強く発揮されることを示した。このことから、BRCA変異のないSYCP3発現がんにもPARP阻害剤の適応を拡大し得ること、また、PARP阻害剤とDNA損傷性の治療の併用がSYCP3発現がんにおいて有望な治療戦略になり得ることが示唆された。さらに、SYCP3がBRCA2と複合体を形成して相同組換え修復機能を抑制する機序を調べるために、前年度からSYCP3と相互作用をするBRCA2の領域の絞り込みを進め、今年度、BRCA2におけるSYCP3との相互作用領域をN末端とC末端の200bp以内の領域まで絞り込んできた。いずれの領域についても、BRCA2の相同組み換え修復能の発揮における役割は未知であり、同領域でのSYCP3との相互作用がどのようにして相同組換えの抑制につながるのかをさらに検討することが必要である。
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Research Products
(4 results)