2013 Fiscal Year Annual Research Report
放射線生存曲線パラメータを規定する分子生物学的因子の包括的スクリーニング
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23591839
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀬尾 雄二 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (00302000)
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Keywords | がん治療 / 放射線治療 / 効果予測 / LQモデル |
Research Abstract |
本研究では放射線生物学的に最適な寡分割照射を施行するために、癌細胞の放射線生存曲線における線量依存性に関与する分子生物学的因子を包括的に探索することを具体的な目的としている。それによって、最適な線量分割を予測できれば新たなタイプのオーダーメイド放射線治療の開発に寄与する可能性があると考えられる。癌細胞の包括的データベースとして、本研究ではNCI-60細胞群を利用している。NCI-60は9種の臓器由来の60種類のヒトがん細胞株である。平成23-24年度においてNCI-60細胞群のうち、固形腫瘍細胞52種類に対して0-14Gyのγ線照射を行い、Colony-forming assayによって生存率を測定した。各細胞の放射線生存曲線にLQ モデルを当てはめ、モデルパラメータを決定した。次にLQモデルパラメータと26種のがん遺伝子変異およびDNA マイクロアレイによる遺伝子発現情報との関連を分析し以下の知見を得た。 1. BRAF, PTEN, EGFR遺伝子変異およびRAF/MAPK パスウェイは低α値と関連する。 2. PDGF シグナル伝達経路はα値と独立して 低β値と関連し、高線量域での放射線抵抗性の要因となる可能性が示唆された。 本年度は放射線増感作用の放射線量依存性に対する研究を行った。17種類の放射線増感剤に対して、その増感作用の大きさを低線量 (2 Gy) と高線量 (10 Gy) で比較し、1回高線量の寡分割照射との併用に適した増感剤を探索した。肺癌細胞A549および大腸癌細胞HT29を用いた実験において、低線量に比し高線量で最も大きな放射線増感作用を示したのはいずれの細胞でもPARP1阻害剤であった。
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Research Products
(1 results)