2012 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍移植鶏卵モデルによる低酸素腫瘍の解糖系亢進を標的とした新規放射線増感剤の創製
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23591842
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宇都 義浩 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20304553)
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Keywords | 放射線増感剤 / 発育鶏卵 / 低酸素腫瘍 |
Research Abstract |
昨年度は放射線増感剤TX-2244の作用機序を明らかにするために、種々のグルコースと2-ニトロイミダゾールをハイブリッドした化合物を合成して構造活性相関を行い、6位の修飾は増感活性に不利になることを見出した。本年度は、TX-2244のin vivo放射線増感活性を評価するために、低酸素誘導因子HIF-1の発現に連動してGFPを発現するEMT6/5HRE-GFP細胞を作製し、この細胞を用いて発育鶏卵に移植・形成させた固形腫瘍中の低酸素領域の解析を試みた。受精鶏卵は、37℃、高湿度下で1時間毎に1回転卵して発育させ、発育開始11日目に漿尿膜上の太い血管の分岐部分にテフロンリングを置き、リング内にEMT6/KU細胞もしくはEMT6/5HRE-GFP細胞懸濁液を添加した。発育開始15, 16, 17, 18日目にヘキスト33342を静注して1分後に腫瘍を摘出し、OCTコンパウンドで包埋した。クライオスタットで腫瘍切片を作製し、H&E染色と蛍光観察を行った。結果として、18日目の腫瘍切片の蛍光画像より、マウスと同様、鶏卵に形成させた固形腫瘍内にもHIF-1陽性細胞が存在していることから、低酸素領域の存在が示唆された。しかしながら、マウスに形成した固形腫瘍と異なり、腫瘍内部の血管が少なく、また、血管形成が不十分であった。さらに、15~18日目に単離した腫瘍を比較したところ、15日目において最も強いGFP由来の緑色蛍光が確認され、その後減少していることが示された。そこで、15日目の腫瘍移植鶏卵に対して8 GyのX線を照射したところ、2時間後の腫瘍切片においてHIF-1陽性細胞の減少が観察された。以上の結果より、腫瘍内血管形成の違いによってマウスの腫瘍と異なる低酸素領域とその変化を示したことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、放射線増感剤のin vivo増感活性を評価するための低酸素応答性腫瘍移植鶏卵モデルの構築に成功しており、本評価系を用いることで薬物動態を反映した分子設計が可能となったことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本申請研究の最終年度になるので、これまでに分子設計・合成した放射線増感剤について構造活性相関を行い、最適な放射線増感剤として創出された候補化合物を合成し、放射線増感活性と薬物動態解析、作用機序解明を実施し、動物実験・前臨床試験に供与可能なニトロアゾール修飾グルコース型放射線増感剤を創出して本申請研究を完了する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を実施するにあたり、放射線増感剤の合成に必要な薬品代として30万円、がん細胞培養に必要なプラスチック器具代として10万円、血清代として10万円、作用機序解析に必要な生化学試薬やキット代として20万円、受精鶏卵の購入代として20万円を使用する計画である。
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