2013 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍移植鶏卵モデルによる低酸素腫瘍の解糖系亢進を標的とした新規放射線増感剤の創製
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23591842
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宇都 義浩 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20304553)
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Keywords | 放射線増感剤 / 解糖系阻害 / グルコース / 2-ニトロイミダゾール |
Research Abstract |
本研究は,がんへの糖の取り込み亢進に着目した糖ハイブリッド低酸素細胞放射線増感剤の開発を目的としている.平成23,24年度において,アセチル化グルコースを修飾した放射線増感剤TX-2244が,他の糖修飾放射線増感剤と比べて極めて高いin vitro放射線増感活性を有すること,グルコースの取込み阻害を引き起こすこと,TX-2244のアセチル基の代謝やグリコシド結合の開裂がTX-2244の高い増感活性に重要であることを明らかにした.そこで平成25年度は,TX-2244の更なる作用機序解明を目的とし,グルコースの6位に2-ニトロイミダゾール基を導入したUTX-90および4-ニトロイミダゾール基に改変したUTX-98を合成し,放射線増感活性を評価した.また,TX-2244の解糖系酵素に与える影響についてウェスタン解析を行った.結果として,UTX-90およびUTX-98の放射線増感活性は,それぞれER=1.42,1.11であり,TX-2244(ER=2.30)と比べてかなり低い活性を示した.よって,TX-2244におけるグルコース1位に2-ニトロイミダゾール基を導入することの重要性が示唆された.また,低酸素条件下でEMT6/KUをTX-2244(600 μM)とX線(2 Gy)の併用処理を行ったところ,Pyruvate Dehydrogenase発現量に減少していることが示された.よって,TX-2244はPyruvate Dehydrogenaseを阻害することでNAD+からNADHへの還元を抑制し,細胞内NADH量を低下させることが示唆された.以上の結果より,TX-2244はグルコース取り込み阻害,細胞内NADH量の低下,放射線由来DNA損傷の増強により高い放射線増感活性を発揮することを明らかにした.本研究で創出したTX-2244は臨床応用が可能な放射線増感剤として有望である.
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Research Products
(5 results)