2012 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌に対するヨウ素125密封小線源療法後のPSAバウンスを予測する研究
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23591848
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
菅原 章友 東海大学, 医学部, 准教授 (80317239)
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Keywords | 前立腺癌 |
Research Abstract |
近年、早期前立腺癌に対するヨウ素125密封小線源療法が増加傾向である。この治療の効果は血清前立腺特異抗原(PSA)値を測定し、その推移をみて判定している。治療後に血清PSA値が低値である状態が継続していれば再発なしと判定される。一方、血清PSA値が上昇傾向であれば生化学的再発と診断され、内分泌療法などの救済療法の導入が検討される。しかし、血清PSA値が一過性に上昇した後、低下する現象がしばしば観察される。これをPSAバウンス現象と呼び、生化学的再発との鑑別がしばしば困難となり、日常診療で問題となっている。本研究の目的は前立腺癌に対するヨウ素125密封小線源療法後のPSAバウンス現象を予測する因子を明らかにして、そのノモグラムを開発し、臨床応用へと展開するための研究基盤を確立することである。計画している具体的な研究項目は、①PSAバウンス現象を予測する因子の解明、②PSAバウンスを予測するノモグラムの開発、③開発したノモグラムを共同研究施設での症例に当てはめて、ヴァリデーション(Validation)を行う、の3つである。今年度は申請者らの施設でヨウ素125密封小線源療法を行った前立腺癌患者250症例を対象にして、術後の血清PSA値を測定したものをグラフ化し、血清PSA値の推移を調べた。術後に血清PSA値が一過性に上昇し、やがて下降した症例をPSAバウンス現象有りの症例と定義した。血清PSA値が上昇する閾値レベルを0.1ng/mlとしてPSAバウンス現象有りの症例を抽出した。結果、術後3年目でPSAバウンスは32%の症例に認められた。多変量解析にて、年齢が統計的有意な予測因子であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PSAバウンスを予測する因子として、年齢以外に術前前立腺体積や線量パラメータが統計的有意になることを想定していた。しかし、統計解析をしてみると、術前前立腺体積や線量パラメータはPSAバウンスとの強い相関を認めなかった。上記の結果をもとにノモグラムを作成を試みたが、因子がひとつのみであり、予測能は低かった。今後、観察期間を延長し、解析対象人数を増加すれば、有意な因子が得られる可能性があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は対象症例数をさらに追加し、また、観察期間を延長する予定である。今年度は血清PSA値が上昇する閾値レベルを0.1ng/mlとしてPSAバウンスを定義したが、次年度は血清PSA値が上昇する閾値レベルをさらにいろいろ変えて解析する予定である。それにより、PSAバウンスを予測する因子として、年齢に加えてさらなる予測因子を同定する予定である。さらに、PSAバウンスを予測するノモグラムを作成して、共同研究施設の症例を用いてヴァリデーションを行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は研究結果の統計解析を統計学の専門家に技術指導をしていただく予定である。研究費をその統計ソフト購入および謝金に充当する予定である。研究結果を国内および海外の学会にて発表していく予定である。発表した研究結果は、海外の英文誌に投稿する予定である。研究費はそのための準備費(英文校正、ポスター製作)および旅費、学会参加費、論文掲載料に充当する予定である。尚、今年度において、未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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