2013 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌に対するヨウ素125密封小線源療法後のPSAバウンスを予測する研究
Project/Area Number |
23591848
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
菅原 章友 東海大学, 医学部, 准教授 (80317239)
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Keywords | 前立腺癌 |
Research Abstract |
近年、早期前立腺癌に対するヨウ素125密封小線源療法が増加傾向である。日本においては、2003年9年開始から10年以上が経過しており、限局性前立腺癌の治療選択肢の一つとして確立しつつある。この治療の効果は血清前立腺特異抗原(PSA)値を測定し、その推移をみて判定している。治療後に血清PSA値が低値である状態が継続していれば再発なしと判定される。一方、血清PSA値が上昇傾向であれば生化学的再発と診断され、内分泌療法などの救済療法の導入が検討される。しかし、ヨウ素125密封小線源療法後の経過観察において、血清PSA値が一過性に上昇した後、低下する現象がしばしば観察される。これをPSAバウンス現象と呼び、生化学的再発との鑑別が困難となり、日常診療でしばしば問題となっている。生化学的再発と間違って診断され、必要のない救済療法が行われてしまう可能性もある。本研究の目的は前立腺癌に対するヨウ素125密封小線源療法後のPSAバウンス現象を予測する因子を明らかにして、その結果を臨床にや役立てるための研究基盤を確立することである。申請者らの施設でヨウ素125密封小線源療法を行った前立腺癌患者280症例を対象にして、術後の血清PSA値を測定したものをグラフ化し、血清PSA値の推移を調べた。術後に血清PSA値が一過性に上昇し、やがて下降した症例をPSAバウンス現象有りの症例と定義した。血清PSA値が上昇する閾値レベルを0.1ng/mlとしてPSAバウンス現象有りの症例を抽出した。結果、術後3年目でPSAバウンスは31%の症例に認められた。多変量解析にて、年齢のみが統計的有意な予測因子であった。若年者においては、ヨウ素125密封小線源療法後に血清PSA値が一過性に上昇した場合、ただちに救済療法をおこなわず、しばらく経過をみるべきであると考えられた。
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