2013 Fiscal Year Annual Research Report
癌幹細胞の誤修復誘導による放射線増感を利用した新たな治療戦略の開発
Project/Area Number |
23591849
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川田 哲也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60234077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深田 淳一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50338159)
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Keywords | 静止期細胞 / 誤修復 / 癌幹細胞 / 重粒子 / PLDR |
Research Abstract |
癌細胞の放射線感受性を高める研究として、引き続き放射線感受性の高いATM遺伝子およびNBS1遺伝子欠損細胞、正常細胞、脳腫瘍細胞を用いて放射線感受性を検討した。正常細胞の多くは静止期であり、癌組織と比較して相対的に対数増殖をしている細胞分画は低いと考えている。一方、盛んに分裂している癌組織を構成する細胞分画は対数増殖期である割合が多く感受性が高く、放射線治療が有効な理由と考えられる。腫瘍細胞ではATM、NBS1遺伝子抑制により静止期での細胞はやはり放射線増感が見られた。一方、AT細胞はNBS1阻害剤では増感効果は見られなかったが、NBS1欠損細胞ではATM阻害剤で増感効果が得られた。染色体解析からは、NBS1細胞では誤った修復が顕著であった。このことは静止期ではNBS1の上流にATM遺伝子が存在している可能性を示唆する。ATM異常細胞ではPLDR(potentially lethal damage repair) が欠如していること、NBS1異常細胞ではATM異常細胞と異なり、PLDRが保たれていることと関係があると考えられる。本年度は重粒子線を用いてPLDRの有無を正常細胞を用いて染色体解析と生存率から解析を加えた。X線では正常細胞、腫瘍細胞でも静止期ではPLDRが観察され静止期幹細胞の存在が治療抵抗性につながることが推測されたが、重粒子ではPLDRが観察されないことが染色体異常解析から証明されたことから、静止期における癌細胞の治療にも有効であることが示唆された(論文として発表)。
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Research Products
(3 results)