2013 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子(炭素)線が生成する活性酸素の制御:重粒子線癌治療の高度化を目指して
Project/Area Number |
23591853
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
松本 謙一郎 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, チームリーダー (10297046)
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Keywords | 重粒子線 / 活性酸素 / フリーラジカル |
Research Abstract |
重粒子線で生じる活性酸素種を制御するに当って、最終的に癌を植え付けた実験動物(マウスあるいはラット)を用いて、癌と周辺組織の同時観察を行い、活性酸素生成の制御が実際の治療へ応用可能か否かを検討するため、重粒子線照射水溶液試料における活性酸素種の生成量の評価と重粒子線照射組織に対する抗酸化剤の効果を検討した。 水溶液試料を使用して活性酸素種の定量的検出法の開発と反応条件設定を行う。そのため化学的な活性酸素発生系を用いる実験系により、ヒドロキシルラジカルの定量性の検討、スーパーオキサイドの定量性の検討、過酸化水素の定量性の検討を行った。ヒドロキシルラジカルに関してはEPRスピントラップ法の変法により水溶液中で定量することが可能となり、局所的に高濃度で生成していることが分かった。スーパーオキサイドについてはそれ自体を検出することはできなかったものの、水溶液中でのスーパーオキサイドが主に関与する反応量として評価することができた。過酸化水素についてもTEMPOLを用いた間接測定法により、水溶液中での生成量を評価することができた。 動物に抗酸化剤等を投与した上で腫瘍へ炭素線を照射し、正常組織での繊維化の程度を数値化し、TEMPOLによる活性酸素生成の制御が重粒子線にも有効に働くか否かを検討した。予想に反し、重粒子線による組織の線維化に対してTEMPOLが抑制することが分かった。TEMPOLが効果を示したことからヒドロキシルラジカルよりもむしろスーパーオキサイドの関与が懸念された。
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Research Products
(2 results)