2011 Fiscal Year Research-status Report
放射線がん治療における陽子線特異的細胞応答の機構解明
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23591854
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Research Institution | The Wakasa Wan Energy Research Center |
Principal Investigator |
畑下 昌範 (財)若狭湾エネルギー研究センター, 研究開発部, 主任研究員 (40359237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 英樹 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (40142377)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 量子ビーム / イオンビーム / 突然変異 / 放射線感受性 |
Research Abstract |
がん治療用放射線照射装置の進歩・照射方法の工夫および治療後の患者の優れたQOLにより放射線がん治療が高い評価を得ているが、さらに放射線腫瘍学的および放射線生物学的なアプローチによる治療成績の向上が望まれている。本研究では、陽子線によるがん治療に関して、その照射による細胞応答の面から解析し、治療成績の向上を目指すことにしている。6-チオグアニンを用いた耐性コロニーの獲得数から、hprt遺伝子の突然変異率を解析したところ、ヒトがん細胞においては、陽子線が他の放射線であるX線や炭素線に比べて特異的に突然変異率が低くなるという結果を得た。また、この突然変異率は、NOラジカル発生剤である硝酸イソソルビドの培地への添加で変動することを見いだした。こうした陽子線に特異的な細胞応答がどのような分子機構で働いているのか、また放射線誘発バイスタンダー応答や放射線適応応答でみられたNOラジカルの細胞間情報伝達の関与があるか否かについて、今後も検討を続ける予定である。具体的実験内容としては、まず、ヒト正常細胞およびヒトがん細胞を用い、種々の放射線照射後の放射線感受性を解析した。0~10GyのX線、陽子線、陽子線ピーク位置、炭素線をそれぞれ照射した細胞を試料とした。また、NOラジカルの関与を解析するために、NO捕捉剤であるc-PTIOを培地に添加したものおよびNOラジカル発生剤である硝酸イソソルビドを培地に添加したものについて、同様に照射したものを試料とした。コロニー形成法で生残細胞数を定量し、種々の放射線による放射線感受性を解析した。次に、種々の放射線照射後の突然変異率を解析した。0~6GyのX線、陽子線、陽子線ピーク位置、炭素線をそれぞれ照射した細胞を試料とした。照射後の細胞を継代培養し、6~8回の分裂後に6-チオグアニン耐性コロニーの出現数を定量し、hprt遺伝子の突然変異率を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤である陽子線に特異的な細胞応答を定量的に把握できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、種々の放射線照射後の主要な遺伝子群の発現パターンを定量的に解析することで、陽子線に特異的な細胞応答がどのような分子機構で働いているのかを解明していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
リアルタイムPCRアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行うために、分子生物学的実験用消耗品の購入費にあてる。また、国際会議発表のための旅費にあてる。
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Research Products
(1 results)