2012 Fiscal Year Research-status Report
組織工学と幹細胞研究を融合させた新規自己細胞由来人工血管による再生医療
Project/Area Number |
23591867
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
蒲原 啓司 佐賀大学, 医学部, 講師 (70555086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (70243938)
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
中山 功一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50420609)
野口 亮 佐賀大学, 医学部, 助教 (70530187)
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Keywords | 血管外科 / 再生医療 / 組織工学 / 幹細胞研究 |
Research Abstract |
現在接着系細胞が元来有する機能である細胞凝集現象により得られる、「スフェロイド」を用いて組織工学的手法を用い、外来異物を一切用いない、細胞だけで構成されるScaffold-freeの細径人工血管作成技術を開発している。本年度は、スフェロイド形成時に、元来血管壁を構成している細胞成分である、血管平滑筋細胞、線維芽細胞に細胞間相互作用を期待して血管内皮細胞を混合させた血管組織型スフェロイドを開発した。単独種類の細胞でスフェロイドを作成するより高機能化させることができる。かつ組織型スフェロイドは血管内皮細胞増殖因子(EGF、VEGF等)の存在下で内部に血管網を持った組織を形成する。さらに「、組織スフェロイド同士が3次元的にあらゆる方向に融合する事を確認した。 血管組織型スフェロイドを融合させ、長さ1cm、内径2mm、血管壁厚0.5mmの細胞のみでの人工血管作成に成功した。本血管は、組織学的評価では、細胞周囲に十分な細胞がマトリックス(コラーゲン等)を有していた。圧縮テストや拡張テストなどの物理的刺激に耐えうることを示した。動物実験では、F344メス10Wのヌードラットの腹部大動脈レベルに1cmの範囲で人工血管置換術を試みた。8-0PPPを用いた、標準的血管外科的手術方法を用いて中枢側吻合、末梢側吻合に耐えうる人工血管作成に成功した。5日後に犠牲死させ肉眼的、組織学的評価を行ったが、開存は得られていなかった。しかし血管の開存性は未だ評価不足であり今後の課題であると考えられた。一方、Vitroの環境でより、機能的な血管を構築すべくバイオリアクターの開発を行った。総額3万円程の安価な費用で長さ10cmまでの血管が培養でき、かつ内部を培養液で循環できる血管培養リアクターシステムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始2年目であるが、外科的手技にても破損しない強度の人工血管を細胞のみで作成することに成功した。さらに、動物への移植への成功している。以上の理由から、本プロジェクトは概ね順調に進展していると評価した。 ただし、本プロジェクトは計画書では自己幹細胞由来細胞を用いての研究としているので来年度は自己幹細胞由来細胞をもちいた研究を取り入れていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、血管組織型スフェロイドの配合条件、大きさ、培養環境のさらなる適正化を目指す。血管構造体作成を動物実験用に6個、物理的刺激に対する強度解析のために12個作成して解析をすすめる。本来、本事業は自己幹細胞ゆらい細胞(血管内皮、壁細胞)を用いての人工血管作成が最終目標であるため本年度はヒトiPS細胞由来血管内皮細胞や壁細胞、血管平滑筋細胞を用いたデータを重ねていきたい。 動物実験はラットの腹部大動脈に人工血管置換を行い、開存性のデータをとる。開存性はエコーにて評価し、最長3ヶ月までのデータをとる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果発表のため国際学会参加旅費として20万円。 最終年度のため、論文作成、英文校正、投稿費用などに10万円 残りを、培養液やサイトカイン、動物実験などに要する消耗品として使用したい。
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Research Products
(9 results)