2012 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞由来樹状細胞/癌幹細胞融合ワクチンを用いた新規的癌免疫療法の開発
Project/Area Number |
23591874
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80364090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
岩橋 誠 和歌山県立医科大学, 医学部, 研究員 (70244738)
中森 幹人 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10322372)
尾島 敏康 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (60448785)
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Keywords | iPS細胞 / 樹状細胞 / 癌免疫療法 / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
本研究は、強力な抗原提示能を有する樹状細胞(DC)をiPS細胞から誘導し、それと癌幹細胞を融合させ、樹状細胞表面に未知、既知の特異的抗原を提示させ、効率的に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を活性化することにより、癌幹細胞に対する癌ワクチンを作成し、強力でかつ特異的な癌治療を構築することを目的にしている。昨年度は、マウスiPS細胞からDCを誘導した。ただ、癌幹細胞の同定に難渋し、以下の様に、一部、研究計画を変更し、実験を遂行した。 1.マウスiPS細胞由来DCの機能解析:細胞表面にCD11b 、CD80、CD86、MHCクラスI、MHCクラスIIの発現を確認し、骨髄由来DCと比較して発現に差がないことを確認した。2.iPS細胞由来DC、骨髄由来DCを用いたサイトカイン分泌(IL-12,IFN-γ)の検討:ELISAで測定し、共に成熟DCにおいて高い分泌能を認めることを確認した。3.DCの遊走能の検討:iPS細胞由来DC、骨髄由来DCのケモカインレセプターCCR7の発現をフローサイトメトリーにて解析し、共に成熟DCにて未熟DCと比較して高い発現を認めた。また、PHK-26で染色した成熟DC(iPS細胞由来DC、骨髄由来DC)をマウスの下腹部の皮下に投与し、鼠径リンパ節への遊走能を検討し、共にcontrolと比較して強く遊走されることを確認した。したがって、iPS細胞由来DCは、骨髄由来DCと同等の機能を有することを確認できた。4.腫瘍抗原gp100発現アデノウイルスベクターの作成:C57BL/6マウス由来のB16 melanoma cell lineの腫瘍抗原であるgp100を発現するアデノウイルスベクターを作成し、DCに遠沈法を用いて導入し、その発現効率を確認した。 今後、作成した遺伝子導入iPS由来DCの抗腫瘍効果を検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、iPS細胞由来樹状細胞の解析を十分に行い、内因性の骨髄由来樹状細胞と同等の機能を有することを確認できた。しかし、当初の予定である大腸癌幹細胞の同定、分離に難渋し、一部、計画を変更、追加し、腫瘍抗原遺伝子gp100発現iPS細胞由来樹状細胞を作成し実験を遂行したため、当初の研究計画まで達しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、まず、腫瘍抗原遺伝子gp100発現iPS細胞由来樹状細胞を用いた抗腫瘍効果の検討を行い、iPS細胞由来樹状細胞と骨髄由来樹状細胞の抗腫瘍効果の比較を行う。具体的には、CTL(cytotoxic T lymphocyte)の誘導、マウス皮下腫瘍モデルの検討を行う。この結果により、iPS細胞由来樹状細胞を用いた癌免疫治療の臨床応用の可能性が期待できると考える。同時に、引き続き、大腸癌幹細胞の同定、分離を行う。 具体的計画は以下の通りである。 1. 腫瘍抗原gp100発現iPS由来樹状細胞接種C57BL/6マウスにおけるCTLの誘導能と誘導されたCTLの解析.2.マウス皮下腫瘍モデルに対するgp100発現iPS由来樹状細胞の抗腫瘍効果に関する検討.3. C57BL/6マウスより大腸癌幹細胞の同定.4.マウス大腸癌幹細胞とマウスiPS細胞由来樹状細胞の融合.5.iPS由来樹状細胞/癌幹細胞融合細胞(iPS-DC/CSC-FC)接種Balb/cマウスにおけるCTLの誘導能と誘導されたCTLの解析.6.マウス皮下腫瘍モデルに対するiPS-DC/CSC-FCの抗腫瘍効果に関する検討
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、誘導したCTLの解析において各表面マーカーの検索に数種類の抗体が必要であるため、免疫研究試薬、抗体に全体の約30%の経費がかかる見込みである。また、実験動物(C57BL/6 mice)とcytotoxic assay (4時間51Cr-release assay)には必須であるラジオアイソトープに研究費が費やされる予定である。また、本年度と同様に、細胞培養試薬・器具:DMEM試薬・RPMI試薬、10mlピペット、50mlピペット、25cm2細胞培養用フラスコ、15mlコニカルチューブ、50mlコニカルチューブ、20μlチップ、100μlチップなどに経費がかかると考えられる。また、最終年度であり、論文作成、論文投稿費の経費が必要となる。
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Research Products
(1 results)