2012 Fiscal Year Research-status Report
ラット肝臓移植モデルにおける免疫寛容獲得の機序と抗炎症作用を用いた治療応用
Project/Area Number |
23591881
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石井 永一 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特別研究生 (00193243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 章 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00256942)
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Keywords | 肝臓移植 / ラット / 免疫寛容 / 肝動脈再建 / 拒絶反応 / 慢性拒絶反応 / 免疫抑制剤 / 虚血再灌流障害 |
Research Abstract |
本研究は、ラットの肝臓移植モデルを用いて、肝臓移植における免疫寛容獲得の機序や免疫応答の特徴を明らかにし、その応用による新しい治療法の開発をすることを最終目的にしている。抗炎症作用の増強による拒絶反応の制御や免疫寛容獲得のための補助療法についても研究を進めている。 今年度は、1) 昨年度から引き続き行っているラット肝臓移植モデルにおける肝動脈再建の移植肝臓への影響で、同系肝臓移植モデルでは、慢性低酸素障害によると思われる門脈域の細胆管の増生や炎症細胞浸潤、門脈域より進展する線維化を認め、学会に報告し論文を作成中である。2) 右腎動脈を用いたsplint法による肝動脈再建の方法は、簡単であり、かつ血栓形成や閉塞などの合併症を認めないことから、動脈再建法も過去の方法と比較し、報告した (J Nippon Med Sch 2013; 80:4-15)。3) DAをドナー、LEWをレシピエントの組み合わせのラット同種肝臓移植を行うと、移植後11日前後で移植肝臓は拒絶反応により完全に機能廃絶に陥る。肝不全に陥る際の腎機能障害(広義の肝腎症候群)の機序を検討した。黄疸を伴う尿細管障害とともに、傍尿細管毛細血管障害により腎機能障害が進展することを明らかにした。学会に発表をして、論文として報告した(Am J Nephrol 2013; 37: 378-388)。4) DA-PVGの組み合わせのラット移植肝臓は急性拒絶反応から慢性期に慢性抗体依存性拒絶反応が発症する。この際の抗体依存性拒絶反応の主な標的は、門脈や肝動脈、肝小葉内の類洞の微小血管内皮細胞、細胆管上皮細胞や肝細胞であることを明らかにした。これを学会で発表し、論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ラットの肝臓移植モデルを用いて、肝臓移植における免疫寛容獲得の機序や免疫応答の特徴を明らかにし、その応用による新しい治療法の開発をすることを最終目的にしている。抗炎症作用の増強による拒絶反応の制御や免疫寛容獲得のための補助療法についても研究を進めている。 今年度は、昨年度から引き続き行っているラット肝臓移植モデルにおける肝動脈再建で、右腎動脈を用いたsplint法による肝動脈再建の方法は、簡単であり、かつ血栓形成や閉塞などの合併症を認めないことから、動脈再建法も過去の方法と比較し論文を作成した (J Nippon Med Sch 2013; 80:4-15)。また、移植肝臓の拒絶反応による肝不全の際の腎機能障害(広義の肝腎症候群)の機序を検討した、黄疸を伴う尿細管障害とともに、傍尿細管毛細血管障害により腎機能障害が進展することを明らかにした。学会に発表をして、論文として報告した(Am J Nephrol 2013; 37: 378-388)。確実な成果が出ており、おおむね順調に進展していると思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、ラット肝臓移植モデルを用いて、肝臓移植における免疫寛容獲得の機序や免疫応答の特徴を明らかにし、その応用による新しい治療法の開発をすることを最終目的にしている。 今後は、1) BN-LEWの同種移植モデルの移植臓器の長期間生着の機序が抗炎症反応、もしくは免疫寛容に関連するかを検討する。このモデルにおける慢性細胞性拒絶反応や慢性抗体依存性拒絶反応の病理所見や免疫機序を検討する。2) DA-PVGラットを用いた同種肝臓移植モデルは、免疫寛容を検討するのに適している。早期の急性拒絶反応の後に長期生着が獲得される。この長期生着肝臓が免疫寛容を獲得しているかを明らかにし、その際の免疫寛容進展過程を検討する。病理検討に加えて、mRNAを網羅的に解析し、microRNAの網羅的な解析も行い、免疫寛容応答の中心的な機序について検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究はラットの肝臓移植モデルを用いて、移植臓器内や脾臓、末血での免疫応答の特徴を明らかにしている。次年度もラットの肝臓移植の研究を継続するが、検討方法は、病理組織学的検討、免疫組織化学的検討、フローサイトメトリー、western blot、real-time PCR、を用いる。次年度の研究費は、実験動物の購入、浸潤炎症細胞の特徴や、産生サイトカインの解析のための各種抗体や消耗品に使用する。免疫寛容機序の検討のために、最初に網羅的な解析も予定しており、DNA arrayやmicroRNA arrayの解析のための消耗品にも使用する。研究のための情報収集、研究会や学会の参加やそのための旅費にも使用する。また結果の解析のためのコンピュータも購入の予定です。論文の作成には英文校正、投稿費や印刷代を含め、研究成果の発表のために使用する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Renal Inflammatory Changes in Acute Hepatic Failure-Associated Acute Kidney Injury2013
Author(s)
Shimizu A, Ishii E, Masuda Y, Sato A, Piao H, Kunugi S, Takahashi M, Terasaki M, Nagasaka S, Terasaki Y, Ohashi R, Morioka T, Fukuda Y
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Journal Title
Am J Nephrol
Volume: 37
Pages: 378-388
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Hepatic artery reconstruction precents ischemic graft injury, inhibits graft rejection, and mediates long-term graft acceptance in rat liver transplantation2012
Author(s)
Ishii E, Shimizu A, Kuwahara N, Kanzaki G, Higo S, Kajimoto Y, Nagasaka S, Masuda S, Fukuda Y
Organizer
International congress of the transplantation society (24th)
Place of Presentation
Berlin
Year and Date
20120615-20120619
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