2013 Fiscal Year Annual Research Report
肝硬変肝機能障害およびその術後経過が好中球の機能および膜脂肪酸構成に及ぼす影響
Project/Area Number |
23591905
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
瀧藤 克也 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (00254540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 健司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30398458)
堀田 司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50244744)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
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Keywords | 膜リン脂質脂肪酸構成 / 好中球機能 / 肝機能障害 |
Research Abstract |
今回測定した肝機能障害による血清アルブミンが3.5g/dl未満の術前栄養不良例について、肝機能に異常を認めなかった症例の結果と比較検討した。好中球リン脂質脂肪酸構成は術後感染症を発症すると肝機能障害を認めなかった症例でも術後4日目以降で末梢血好中球のリン脂質脂肪酸のうちアラキドン酸や多価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸 (PUFA/SFA) 比は術後14日目まで低値を推移し、この傾向は肝機能障害を有する場合でも同様で、肝機能障害の有無による差は全く認めなかった。一方、肝機能障害による術前栄養不良例では、たとえ術後経過が良好であっても、栄養不良を有さない症例に比べて術前値への回復が明らかに不良であった。一方、好中球膜リン脂質中のEPAは、術後1日でアラキドン酸と同様に減少したが、その後はアラキドン酸とは異なり、栄養不良のない症例と同様に低値のままを推移した。好中球の貪食能は術後1から4日目に上昇し、7日目から14日目に術前値に復する傾向があった。一方、活性酸素産生能は術後1日目から4日目にかけて上昇し、術後14日目まで持続する傾向を認めた。肝機能障害時には術後7日目~14日目にかけて栄養不良のない症例に比し術前値への回復が明らかに不良であった。そこで、術後7日目における好中球のリン脂質アラキドン酸変化率と貪食能および活性酸素産生能との相関を検討したところ、活性酸素産生能には明らかな相関は認めなかったが、貪食能は好中球膜リン脂質中のアラキドン酸の低下が少ないほど貪食能は上昇した。 肝機能障害による栄養不良例では、必須脂肪酸の体内貯蔵は枯渇傾向にあることが想定され,異化が促進する手術後にはさらに減少して、好中球の膜リン脂質脂肪酸構成に影響を及ぼし、好中球膜リン脂質中のアラキドン酸が低下して好中球の貪食能が傷害されることが判明した。
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