2011 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌の血清DNA断片を標的とした悪性度に関する遺伝子診断法の基礎的臨床的検討
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23591907
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小澤 壮治 東海大学, 医学部, 教授 (10169287)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 癌 / 核酸 / 外科 / 遺伝子 |
Research Abstract |
平成23年3月11日に生じた東日本大震災の影響で、所属研究機関より同年8月2日付け文書にて、予算執行にあたり直接経費および間接経費ともに、入金が確定している交付決定額の7割相当額で執行をするよう指導があった。また、震災の影響による国内の物流の混乱や海外で発生した大洪水などの自然災害により、海外生産の一部消耗品の納期の遅延、および納期未確定など予測できない事象が幾つか生じ、研究計画の見直しを余儀なくされた。他方、地震による研究室環境の安全性を見直すこととなり、安全に研究を行うために同年10月24日より新規研究室での研究活動が可能となった。平行して、癌細胞株を用いたDNA断片の測定系の検討を行った。QIAamp®DNA kitを使用し、SYBR® Premix Ex Taq™試薬とAlu115またはAlu247のprimerを用いてThermal Cycler Dice® Real Time SystemでReal Time PCRを行った。PCRは熱変性95℃, 30秒、アニーリング64℃, 30秒、伸長反応72℃, 30秒で35サイクル行った。あらかじめ段階希釈した標準資料を用いて検量線を用意し、Thermal Cycler Dice® Real Time Systemで設定した閾値と増幅曲線が交わる点(Ct値)から、Alu115とAlu247のDNA量を定量し、Alu247DNA / Alu115 DNA比を算出しうることを確認した。また、臨床研究において使用する患者群と同等の患者群の臨床腫瘍学的検討を行い、患者背景の予測を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年3月11日に生じた東日本大震災の影響を受けて、全体活動の予定が当初の予定とより大幅に変更を余儀なくされ、かつ流動的であったことが要因と考えている。その上で、予算執行が段階的になったことや国内の物流の混乱、また余震等を考慮し研究室内環境の安全性を見直した結果、新たに研究室を確保したため移動に時間を要したこと、さらには海外で発生した自然災害による海外生産品の納期遅延等が重なり、研究スケジュールの立て直しが困難であったことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
【基礎研究】1.ヒト消化器癌細胞株移植ヌードマウスモデルの作成:BALAB/cA-nu/nuヌードマウスにヒト食道癌細胞株を皮下に移植して腫瘍を形成させる。2.ヌードマウスモデルにおける検討群の設定:自然経過群:癌細胞移植時から腫瘍形成、腫瘍増大、死亡にいたるまでの4時点で、採血の後に犠死させる。腫瘍切除群:換算腫瘍重量(RW)100mgまで腫瘍形成後に、腫瘍を50%切除または100%切除する。切除前、切除1日後から15日後まで2日毎に採血の後に犠死させる。化学療法群:換算腫瘍重量(RW)100mgまで腫瘍形成後に、5-FUまたはCDDPを腹腔内投与する。薬剤投与前、投与1日後から15日後まで2日毎に採血の後に犠死させる。3.ヌードマウスの観察:ヌードマウスの生死、体重、換算腫瘍重量(RW)を経時的に観察する。4.血清中遊離DNA断片の測定:ヌードマウスから採血し、犠死させた後、換算腫瘍重量(RW)と実測腫瘍重量を測定する。採取した血液は、3,000rpm, 30分で遠心分離をした後、血清を分注し-80℃で冷凍保存する。血清中から抽出したDNAとSYBR® Premix Ex Taq™試薬とAlu115またはAlu247のprimerを用いてReal Time PCRを行う。標準資料を用いた検量線を用意し、Ct値から、Alu115とAlu247のDNA量を定量し、Alu247DNA / Alu115 DNA比を算出し、「長鎖/短鎖 DNA割合」とする。5.結果の検討:各群と「長鎖/短鎖 DNA割合」の変化を検討する。【臨床研究】1.消化器癌患者からの血液採取:食道癌・胃癌患者の治療前と手術後、また化学療法後経時的に末梢血液を採取する。血液は遠心分離をした後、血清を分注し冷凍保存する。2.血清中遊離DNA断片の測定:上記基礎研究と同様に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度にヌードマウスを用いた実験を行うため、ヌードマウス購入、および飼育費を予定している。さらに、血清中遊離DNA断片の測定に必要な核酸抽出のための試薬の購入を検討している。また、実験結果の集計・入力・解析補助作業、研究関連参考文献の収集など研究事務補助業務者を雇用するための謝金を計上する。研究関連情報収集、ならびに研究成果発表等のための国内旅費に本研究費を使用する予定である。
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