2012 Fiscal Year Research-status Report
原発性上皮小体機能亢進症腺腫におけるcAMP/PKAシグナリングの解析
Project/Area Number |
23591910
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
日比 八束 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (10399024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 豊 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90595977)
岩瀬 克己 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70148261)
今井 常夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80252245)
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Keywords | 副甲状腺機能亢進症 / PRKAR1α / cAMP/PKAシグナリング |
Research Abstract |
続発性(腎性)上皮小体機能亢進症での結節性過形成腺と同様、原発性上皮小体機能亢進症の腺腫において、PRKAR1αタンパクの過剰発現があるかをまずウェスタンブロット法を用いて、同一症例から摘出した腺腫および正常腺でその発現を比較検討した。その結果、分析した腺腫8腺のうち5腺で正常腺に比べその過剰発現が確認された。さらに腺腫22腺と正常腺11腺を抗PRKAR1α抗体による免疫染色法を用いてAllredscore法 により解析したところ、腺腫のおけるscore は正常腺でのscore に比べ有意に高値であり、同様に腺腫病変での過剰発現が証明された。さらに同一症例からの腺腫および正常腺から抽出したタンパクに対しPKA活性を比較したところ、腺腫でのPKA活性は正常腺に比べ有意に低いことが観察された。これらの結果により原発性上皮小体機能亢進症における腺腫の進展にPRKAR1αが過剰発現した結果、PKA活性が低下することが関与するとした仮説が証明された。その他にも、副甲状腺細胞は好酸性細胞と主細胞に大別されるが、それらの細胞種別に、免疫染色法にてPRKAR1αタンパクと細胞増殖の指標であるPCNAタンパクの発現を解析したところ、主細胞では腺腫と正常腺間にそれぞれの発現に差はなく、また好酸性細胞でも正常腺では差はなかったものの、腺腫では好酸性細胞において両タンパクが正常腺に比べ有意に高かったことから、とくに好酸性細胞でのPRKAR1αの過剰発現による変化およびその影響が強調されていることが推測された。以上から発生要因にかかわらず副甲状腺細胞がモノクロナールに病的増殖する機序につき、cAMP/PKAシグナリングが関与し、またそのことは副甲状腺好酸性細胞において強調されていることを示したことは、副甲状腺機能亢進症の病的腫大腺が発生するメカニズムの解明に大きく貢献したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腺腫におけるPRKAR1αタンパクの過剰発現およびPKA活性低下は仮説通り、証明したが PKA活性の低下がどのように副甲状腺細胞増殖に関与するかの解析が十分まだ進行していない。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた研究成果に基づき、今後は腺腫における副甲状腺細胞でのPKA活性の低下がどのように副甲状腺細胞増殖に影響するかを解析し、cAMP/PKAシグナリングの関与をさらに詳細に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は以下を計画している。 1.手術病理未染プレパラートを用いて各種PKA subunit 抗体および抗PCNA抗体を用いて二重免疫染色を施行。2.培養細胞にフォルスコリンでcAMP/PKA シグナリングを外的に刺激したのち培養した細胞から蛋白を抽出し、抗リン酸化Bcl-2抗体を用いてウェスタン ブロット法でBcl-2蛋白のリン酸化の状況を検討。3. 別のプレートで処理した培養細胞ではWSTアッセイおよびフローサイトメトリにて解析し細胞の生存率およびアポトーシスを検討。 これらの解析に必要な物品・材料を購入するとともに、実験助手への人件費や論文作成のデーター収集や経費に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)