2013 Fiscal Year Annual Research Report
内視鏡手術時の二酸化炭素気腹による抗炎症性応答とプロトン感知性受容体
Project/Area Number |
23591916
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Research Institution | Gunma Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
村田 直哉 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (00533473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
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Keywords | 実験外科学 |
Research Abstract |
内視鏡を用いた外科手術時の二酸化炭素気腹は炎症性サイトカイン産生を積極的に抑制する。本研究では二酸化炭素気腹時に予想される細胞外pH低下がプロトン感知性G蛋白共役受容体(GPCR)へ関与することを実証し、その細胞内シグナル伝達機構を明らかにすることをめざした。マウスマクロファージをLPS(TLR4アゴニスト)で処理するとTNF-α,IL-6などの炎症性サイトカインが産生する。(1)この応答は細胞外pHが低下すると抑制される。このpH低下による応答抑制はmRNAレベルでも確認されている。そこで、TDAG8欠損マウス由来のマウスマクロファージで同様の実験をおこなったところ著明な減弱が観察された。(2)TDAG8は通常、Gs/cAMP系に連関していることが知られている。実際、TDAG8受容体刺激ではcAMPが上昇すること、また、cAMPを上昇させるプロスタグランジンやβ-アドレナリンアゴニスト、cAMP誘導体がLPSによるサイトカイン産生を抑制する。そこで、Gsに対するsiRNA、Aキナーゼ阻害薬であるH89などを用いて解析したところ、pH応答が抑制された。したがって、酸性pHはTDAG8/Gs/アデニル酸シクラーゼ/cAMP/Aキナーゼを介していることが証明された。(3)トールライク受容体TLR4、TLR3受容体刺激による炎症性サイトカインの産生にはNF-kB、AP-1などの転写因子が関与している。そこで、これらの転写因子の活性化の上流のシグナル系であるIk-Bのリン酸化、プロテオリシスによる蛋白分解、ERKリン酸化、p38MAPキナーゼのリン酸化などをウェスタンブロッティング法で追跡した。しかし、LPSでこれらの活性化は確認されたが、酸性pHによる有意な効果は観察されなかった。従って、酸性pHはこれらの経路とは異なる経路を修飾していることが推定された。
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Research Products
(4 results)