2011 Fiscal Year Research-status Report
胃癌腹膜播種に対するシスプラチン担持ヒアルロン酸ゲルによる腹腔内化学療法の開発
Project/Area Number |
23591919
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 博紀 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20376445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 丈二 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20251308)
山下 裕玄 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50599397)
石神 浩徳 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (80372382)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 胃癌腹膜播種 / 腹腔内化学療法 / ハイドロゲル / シスプラチン |
Research Abstract |
平成23年度の研究計画に沿い、まずヒドラジドヒアルロン酸(A液)とアルデヒド化ヒアルロン酸(B液)のポリマー濃度を変化させ、腹腔内投与に最適なそれぞれの濃度を決定した。具体的にはゲル化時間を決定する因子を定量的に調べ、ゲル化時間の最適化をおこなった。300 rpmで回転している9 mm攪拌子の中心部に200 μLのHA-CHOをマイクロピペッターを用いて加え、その後同じポリマー濃度、シスプラチン(CDDP)濃度のHA-ADHを200 μL滴下し、ゲル化がおきるまでの時間を観測した。ポリマー濃度0.5%、1.0%、1.5%、2.0%のゲル化時間はそれぞれ100秒、40秒、24秒、18秒であった。これは高濃度の場合の方が架橋点の数が多く、加えてポリマー濃度が高いために相対的な架橋密度が低くくても、ゲル化しやすいためである。2.0~1.0 %では濃度を薄くしてもゲル化時間は急激に変化はしなかった。これはHA-ADHとHA-CHOの混合が律速になっており、ゲル架橋反応は瞬時に起こっているからだと考えられた。ゲルの粘度は濃度を下げると徐々に低下して行き、0.5%では形を保たないほど粘度が低かった。以上の結果からゲル化時間が最も速いポリマー濃度2%と決定した。続いてCDDP担持ヒアルロン酸ハイドロゲルをマウスの腹腔内に投与し、28日後に残留ゲルを摘出、ヒアルロン酸分解酵素を加えゲルを完全に分解し、原子吸光法によりシスプラチン濃度を測定した。CDDP 0.1 mg/mL投与群では3.9 μg、CDDP 0.02 mg/mL投与群では0.7 μgであった。1回の注入で100 μgのCDDPが担持されているので3.86 %が残っている結果となった。これは以前に行ったin vitroの結果とほぼ一致しCDDPがHA-ADHと配位子形成をしたことと矛盾しない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒドラジドヒアルロン酸とアルデヒド化ヒアルロン酸のポリマー濃度は2%が最も速やかにゲル化すること、またこれにシスプラチンを加え腹腔内に残留したゲル中のシスプラチンを測定したところ、3.86%が担持されていることが判明した。これら結果は、我々が当初予想していたとおり、ハイドロゲル中にシスプラチンを担持させ、腹腔内に投与することにより、単独では短時間で腹膜中皮から吸収されてしまう水溶性抗癌剤であるシスプラチンが長時間腹腔内に停留していることが証明された。シスプラチン担持腹腔内投与後の腹腔内ゲル・液体中のシスプラチン濃度は測定したが、ラットを使用しての腹腔内投与後の血清中濃度測定については現在実験を進めているところである。これ以外の実験計画目標はほぼ達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度からの研究を継続する形で、ラットを使用してのシスプラチン担持腹腔内投与後の血清中シスプラチン濃度測定を行う。これに引き続き、シスプラチン担持ヒアルロン酸ゲル腹腔内投与後のシスプラチンの播種病巣内部への経時的浸透性を検討する。具体的には、ヌードマウスを用い,我々がヒト胃癌細胞株から樹立した腹膜播種を高頻度に起こす細胞株MKN45Pを腹腔内注射することにより腹膜播種モデルを作成する.28日目に犠牲死させ,腸間膜に生じた腹膜播種結節を確認するが,その3時間前,12時間前,24時間前に蛍光標識したシスプラチンを担持させたヒアルロン酸ハイドロゲルを投与しておく.摘出された腹膜播種結節は固定後切片を蛍光顕微鏡で観察し,腫瘍内部のシスプラチンの分布について確認する.シスプラチン単剤を腹腔内投与した場合,および,シスプラチンを静脈投与時の場合と比較検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費のうち、次年度に使用する予定の研究費については、今年度に本来予定していたラットを使用してのシスプラチン担持腹腔内投与後の血清中シスプラチン濃度測定に使用する予定である。次年度の研究にの使用計画としては実験動物(ヌードマウス・マウス)に600千円、動物飼料に100千円、細胞培養器具に100千円、細胞培養液に100千円、蛍光標識シスプラチン作製に300千円、固定標本作製に100千円使用予定である。この他に学会発表の旅費、英文論文作成費用としてそれぞれ100千円を予定した。
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Research Products
(7 results)