2012 Fiscal Year Research-status Report
胃癌腹膜播種に対するシスプラチン担持ヒアルロン酸ゲルによる腹腔内化学療法の開発
Project/Area Number |
23591919
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 博紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20376445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 丈二 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20251308)
山下 裕玄 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50599397)
石神 浩徳 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80372382)
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / 胃癌腹膜播種 / 腹腔内化学療法 / ハイドロゲル / シスプラチン |
Research Abstract |
我々がヒト胃癌細胞株から樹立した腹膜播種を高頻度に起こす細胞株MKN45Pを用いて、in vitro の基礎的研究を行った。ヒアルロン酸ゲルポリマー単体では、1mg/mlの濃度にて培養液に添加させても細胞毒性は認められなかった。この濃度のポリマーにシスプラチンを担持させ、培養液に添加させたところシスプラチン濃度0.001mg/mlにて細胞増殖抑制効果がみられた。 続いてヒアルロン酸ゲルポリマーのswelling kineticsの解析を行った。ヒアルロン酸分解酵素の存在しない状況では、4日間以上、分解されなかったが、ヒアルロン酸分解酵素の存在下では速やかに分解された。ポリマー濃度10mg/mlのほうが20mg/mlに比較し速やかに分解された。 MKN45を腹腔内注射することにより腹膜播種モデルを作成し、次年度の抗腫瘍効果を確認する実験に用いることとした。シスプラチンの腫瘍結節内部の浸透性を確認する実験は、シスプラチンに蛍光標識を付加することが困難であったため今年度は行わなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitro の実験において、細胞増殖抑制効果が確認されたこと、またハイドロゲルの動的解析がなされたことで、次年度のin vivo のシスプラチン担持ヒアルロン酸ゲルポリマーの抗腫瘍効果を実際の生体において評価する研究につなげることができた。 シスプラチンの腫瘍結節内部の浸透性を確認する実験については、シスプラチンを蛍光標識することが困難であったため試行できなかったが、腫瘍結節内部のシスプラチン濃度を測定するなど、他の方法で検討することを予定している。 ほぼ実験計画目標はおおむね達成されているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒアルロン酸ゲルよりシスプラチンを腹腔内に長期間徐放させることによる腹膜播種治療効果を検討する。 MKN45とヌードマウスを用いた腹膜播種モデルにおいて,胃癌細胞を腹腔内に接種後,7日目,14日目,21日目にシスプラチンを担持させたヒアルロン酸 in situ 架橋ハイドロゲルを腹腔内に投与し,28日目に犠牲死させ,生じた腹膜播種結節の数と重量を測定し,腹膜播種に対する抑制効果を検討する.また,28日目に犠牲死させずに癌死するまで観察する各群を設け,シスプラチン担持ヒアルロン酸ゲルの生存期間に与える影響について検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は生体におけるシスプラチン担持腹腔内投与の腹膜播種に対する抗腫瘍効果を検討する実験に使用する予定である。次年度の研究の使用計画としては実験動物(ヌードマウス・マウス)に600千円、動物飼料に100千円、細胞培養器具に100千円、細胞培養液に100千円使用予定である。この他に学会発表の旅費、英文論文作成費用および雑費としてそれぞれ100千円を予定した。
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Research Products
(12 results)