2013 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌腹膜播種に対するシスプラチン担持ヒアルロン酸ゲルによる腹腔内化学療法の開発
Project/Area Number |
23591919
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 博紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20376445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 丈二 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20251308)
山下 裕玄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50599397)
石神 浩徳 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80372382)
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Keywords | 腹腔内化学療法 / シスプラチン / ヒアルロン酸 / ハイドロゲル / 腹膜播種 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
腹膜播種病変に対する抗癌剤の腹腔内投与は、静脈投与に比べて効果を有するが示されてきた。しかしながら水溶性低分子抗癌剤であるシスプラチンは、腹腔内に投与しても腹腔内滞留時間が短いため、腹腔内投与薬剤としては適さないことが知られてきた。本研究では、シスプラチンを in situ 架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルに内包することにより腹腔内投与に適した新たな生体材料を作成することを目標とした。 二種のヒアルロン酸ポリマーを混合し、架橋ゲル化に要する時間は、ポリマー濃度により異なることが示されたが、担持させるシスプラチン濃度には関係しなかった。放出動態実験ではシスプラチンは分解するゲルより5日間以上かけ放出されることが示された。細胞増殖実験では、架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルは、ヒト胃癌細胞株であるMKN45Pに対し、1 mg/mlという高濃度において細胞毒性を示した。続いてシスプラチン(0.01または0.1 mg/ml)を1 mg/mlの濃度のポリマーに加えたところ、シスプラチン単体を加えたときとほぼ同様の細胞毒性を示した。 ヒト胃癌細胞を用いたマウス腹膜播種モデルにおいて、In situ シスプラチン担持ヒアルロン酸ハイドロゲルの抗腫瘍効果を検討した。腹腔内では、架橋によるヒアルロン酸のゲル化が認められた。シスプラチン 1 mg/kgを担持させたヒアルロン酸ハイドロゲル投与群において腹膜播種結節の合計重量の減少が認められたが、同濃度のシスプラチン単体投与では有意な抗腫瘍効果は認められなかった。 In situ シスプラチン担持ヒアルロン酸ハイドロゲルは、腹膜播種に対する腹腔内投与において、長期間の腹腔内停留性と持続的なシスプラチン放出能力を有し、抗癌剤のドラッグデリバリーにおいて極めて有用な新たな生体材料として期待される。
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Research Products
(12 results)