2011 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌幹細胞と微小環境との相互作用に関与する治療標的マイクロリボ核酸の探索
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23591920
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
奥村 知之 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10533523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 一博 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (90171967)
嶋田 裕 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30216072)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 食道癌 / 癌幹細胞 / マイクロRNA / 分化誘導 |
Research Abstract |
1991年6月より2007年8月に当科において切除された食道扁平上皮癌症例のうちホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックを用いて癌部および正常部のRNA抽出が可能であった32症例を対象として、p75NTRおよびmicroRNAの発現をそれぞれ免疫組織染色およびマイクロアレイを用いて検出し幹細胞制御microRNAを探索した。マイクロアレイの結果p75NTR陰性例において陽性例に比べて癌部/正常部比が2倍以上高いmicroRNAとしてmiR-203が同定された。miR-203の発現と腫瘍進達度、リンパ節転移、遠隔転移および臨床病期との相関は認めなかったが、高分化型癌において発現が高い傾向を認めた。KYSE520およびKYSE790におけるmiR-203の発現をRT-PCRにて確認したのち、anti-mir203-siRNA発現ベクターを導入し安定発現株を作成したところMock株と比べてmir203の発現が減弱するとともにp75NTRおよびBmi1の発現が増強し高いコロニ―形成能を示した。続いてKYSE520およびKYSE790にmir203発現ベクターを導入し安定発現株を作成したところMock株と比べてmir203の発現が増強するとともに細胞増殖が抑制されインボルクリンの発現増強を認めた。これらより食道扁平上皮癌においてmiR-203が幹細胞の増殖と分化を制御しているものと考えられ分化誘導療法への応用の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食道癌細胞株を用いてのALDEFLUORによるALDH-1/p75NTR陽性細胞の分離に技術的な困難を生じたため、FFPEブロックからのRNA抽出を行い、幹細胞特異的microRNA候補を探索した。
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Strategy for Future Research Activity |
FFPE組織ブロックから探索したmicroRNAの発現による幹細胞制御について検討を進める。現在、食道癌細胞株を用いてmicroRNA強制発現株を作成しマウス皮下への移植を行い分化と増殖の変化を検討している。当初23年度に計画していた幹細胞の分離を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
食道扁平上皮癌細胞株KYSE70、KYSE1170、KYSE1250 、KYSE410 およびKYSE850 を用いてALDH-1発現とALDEFLUOR陽性との相関を確認する。続いて各細胞株についてALDEFLUORによってALDH-1/p75NTR陽性細胞を分離しその幹細胞形質をNODSCIDマウス皮下への移植およびspheroid 形成によって確認する。分離した食道・胃癌幹細胞からRNAを抽出しmiRNA array およびcDNA array によって幹細胞特異的遺伝子発現を網羅的に探索し、ALDH-1陽性癌組織から既に抽出している分子との対比によって研究を進める候補分子を決定する。続いて樹立したCAFを蛍光色素(RFP)を用いて標識し各癌細胞と供培養する。培養後に線維芽細胞(RFP+)と癌細胞(上皮抗原EMA+)をそれぞれCell Sorterを用いて分離し、培養前後においてそれぞれの細胞にて発現変動するmiRNAをマイクロアレイを用いて探索する。同時に培養上清中に存在するmiRNAの変動を検出する。
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Research Products
(2 results)