2012 Fiscal Year Research-status Report
食道扁平上皮癌におけるAKT及びERK pathway関連遺伝子変異の網羅的解析
Project/Area Number |
23591941
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮成 信友 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (90336230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20240905)
馬場 祥史 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20599708)
岩槻 政晃 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (50452777)
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Keywords | KRAS / BRAF / PIK3CA / 食道癌 / 遺伝子変異 / 予後 |
Research Abstract |
まず我々は食道扁平上皮癌におけるKRAS, BRAF, 及びPIK3CA遺伝子の変異をPyrosequencing technologyを用いて評価した。当科で切除された食道扁平上皮癌200例以上のパラフィン包埋切片からMacro dissection もしくはLaser micro dissectionにより、腫瘍組織(癌細胞)及び正常上皮をそれぞれ回収し、その組織からDNAを抽出し、“Pyrosequencing technology”によりKRAS, BRAF, PIK3CA遺伝子の変異の有無を評価した。食道扁平上皮癌切除標本203例を対象に解析を行った結果、KRAS遺伝子変異は1例(0.5%)のみであり、BRAF遺伝子変異は認められなかった。食道扁平上皮癌においては、KRAS遺伝子変異は稀であり、BRAF遺伝子変異はほぼ皆無であるため、臨床的な意義を成さない可能性が示された。この結果をAnnals of Surgical Oncologyに発表した。次にPIK3CA変異について検討を行った。PIK3CA遺伝子変異は、219症例中46例(21.0%)で認めた。PIK3CA 遺伝子変異群と野生型群で臨床病理学的背景を比較したところ、統計学的有意な差は認められなかった。Kaplan-Meier法による生存率を比較したところ、 Disease free survivalおよび Cancer-specific survivalにおいてPIK3CA 遺伝子変異群は野生型群に比べて有意に予後が良好であった(P=0.0089, P=0.021)。食道扁平上皮癌においてPIK3CA遺伝子変異は、21.0%で認めた。また、PIK3CA遺伝子変異が予後因子になる可能性が示唆された。この結果をClinical Cancer Researchに報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
200例以上の食道癌切除検体を用いて、KRAS,BRAF,PIK3CAの遺伝子変異の頻度を評価し、その臨床的意義について検討した。それらの結果をClinical Cancer Research とAnnals of Surgical Oncologyという癌関連の一流誌に報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は食道癌細胞株を用いて、PIK3CA変異と抗癌剤感受性などとの関連を網羅的に解析していく予定である。食道癌治療においては、5-FU, CDDP, DocetaxelなどがKey drugであるので、これらの感受性とPIK3CA変異が関連あるかを検討する。また、今回のPIK3CA変異と予後との関連を、異なる施設のcohortを用いて再現性を検討する準備も進めている。 食道扁平上皮癌におけるPIK3CA遺伝子の変異と疫学的因子(喫煙、飲酒)との関係を解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)