2012 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌における新規癌関連遺伝子DTLの癌化機構の解明と臨床応用
Project/Area Number |
23591945
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
當麻 敦史 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30516191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
小松 周平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40578978)
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Keywords | 消化器外科学 / 分子標的 / DTL |
Research Abstract |
食道癌は、極めて悪性度の高い難治性の癌であり、集学的な治療が望まれる。しかし、未だ実地臨床の現場で有望な診断及び治療標的分子は少ないのが現状である。申請者らは、43種類の食道扁平上皮癌細胞株に対してアジレント244KオリゴアレイCGH解析を行い、既知の増幅・欠失領域の再評価を行った。(Komatsu S. et al. Carcinogenesis 2009, Haruki S, Komatsu S et al. Carcinogenesis 2010)。本研究は、食道扁平上皮癌株の1q32-41増幅領域に坐位し、高発現するDTL遺伝子について、①食道癌臨床検体を用いたDTLの蛋白発現解析による予後、悪性度に対する評価 ②発癌、悪性度に関するDTL分子機構の更なる解明、③化学・放射線療法の感受性予測や耐性作用の解明、④p53発現の同時測定による診断マーカーとしての応用、⑤血中遊離DNAのDTL遺伝子コピー数の定量による血液・体腔液診断、早期診断への応用、⑥他臓器癌におけるDTL遺伝子発現亢進による腫瘍の増殖・悪性度への関与の評価、行うことを目的とした。本年度は、①に関して、国立がん研究センター病理の津田 均博士の指導のもと、臨床検体を用いてDTL発現の臨床的意義を詳細に解析した。DTL蛋白は腫瘍先進部で強い陽性所見を認める症例が多く、陰性の症例と比較して有意に予後不良であった(p<0.01)。②に関しては、invasion assay及びmigration assayを施行した。数種類のDTL高発現株に対して、DTL特異的なsiRNAにより遺伝子発現をノックダウンすると、癌細胞の浸潤能、遊走能共に著しく有意に抑制される結果となった。①の臨床所見と合致する興味深い知見が得られた。③に関しては、アレイ解析を終了し、DTLが制御する癌抑制遺伝子候補の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DTL遺伝子と食道扁平上皮癌との関連について解析を進めてきた。食道癌は、DTLの坐位する1q32に約15%の頻度で増幅を持つ。細胞株レベルでは正常食道発現と比較しDTLは100%高発現を認める。過去の報告と我々の知見をあわせると、他の臓器や正常組織での発現を認めないため、治療標的分子として極めて有望である。今回、国立がん研究センター病理の津田 均博士の指導のもと、食道扁平上皮癌臨床検体を用いてDTL発現の臨床的意義を詳細に解析した。DTL蛋白は腫瘍先進部で強い陽性所見を認める症例が多く、陰性の症例と比較して有意に予後不良であった(p<0.01)。また、数種類のDTL高発現細胞株に対して、DTL特異的なsiRNAにより遺伝子発現をノックダウンすると、癌細胞の浸潤能、遊走能共に著しく有意に抑制される結果となった。以上から、食道癌の進展において、浸潤に関連する分子であることが明らかとなった。現在、計画通りに研究は進んでおり、網羅的解析により同定したDTLの癌化、癌の進展に関連する標的分子の詳細な解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅的解析により同定したDTLが制御するmicroRNAや癌関連遺伝子等の治療標的分子との関連を詳細に解析する。また、血中遊離DNAのDTL遺伝子コピー数の定量による血液・体腔液診断、早期診断への応用によるバイオマーカーとしての有用性の評価、胃癌等の他消化器癌におけるDTL遺伝子発現亢進による腫瘍の増殖・悪性度への関与の評価も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度において以下の研究を計画している。 (1)DTLが制御するmicroRNA、遺伝子の網羅的解析:アレイ解析を用いて同定した候補の詳細な解析。 (2)化学・化学放射線療法の感受性予測や耐性作用の解明:食道癌患者の化学放射線療法の治療感受性やその他消化器癌の化学療法の感受性を予測し、治療の個別化が可能であることを検証する。 (3) 血中遊離DNAのDTL遺伝子コピー数の定量による血液・体腔液診断、早期診断への応用が可能か検証する。 (4)他癌種でのDTL発現の意義を検証する。
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