2012 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉系細胞分化転換関連分子を標的とする新しい胃がん腹膜転移治療法の開発
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23591949
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
笹子 三津留 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40143490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 正二郎 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70381960)
松井 毅 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (10452442)
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Keywords | 胃十二指腸外科学 |
Research Abstract |
【研究目的】臨床検体を用いて胃がん細胞とがん関連線維芽細胞(CAFs)の相互作用を標的とした新しい胃がん腹膜転移治療法開発を目標とする。1.胃がん組織における治療標的となりうるEMT関連分子群を同定すること2.阻害による治療効果評価を目的としている。 【研究実績】昨年度の解析から、がん細胞-CAFs間の特徴的な所見が胃がん治癒切除後の再発と有意に相関していた。そこで今年度は1.胃がん組織CAFsの初代培養細胞単離:CAFsに加えて、同一胃がん患者症例より非がん胃線維芽細胞(NGFs)と正常小腸線維芽細胞(NIFs)を分離培養して線維芽細胞ライブラリーを作製することに成功した(現在20症例)。国内外を通じて初めての試みであり、胃がん微小環境解析において非常に有用である。2.CAFsの混合培養における胃がん細胞株の解析:胃がんの増殖能・運動能をタイムラプス撮影と動態解析プログラムによって定量解析を行った。その結果、がん細胞とCAFsの細胞間接着はがん細胞とCAFsの両者に変化をもたらした。3.薬剤投与による抗腫瘍効果の検討:蛍光標識胃がん細胞株とCAFsを共培養したのちに、フローサイトメトリーによるcell sortingによってCAFsとがん細胞を分離して、それぞれの細胞における遺伝子発現解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
がん細胞浸潤におけるEMTの重要性を解析した結果、がん細胞と線維芽細胞がつくる微小環境における双方向性の作用は「がん細胞自身の変化(EMT)」の引き金になることが明らかになった。しかも、がん細胞と線維芽細胞のそれぞれの運動能・増殖能を制御する可能性が示唆された。同一患者由来の線維芽細胞の多様性を認めることから、線維芽細胞ライブラリーを使うことは「がん-線維芽細胞相互作用に及ぼす影響」を解析する上で非常に重要と考えた。2年間の解析によって、胃がん浸潤・増殖におけるがん微小環境の影響の解析は予定よりもはるかに進んでいる。ただし、特定薬剤のマウス投与によるin vivo assayに関しては次年度に予定することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
線維芽細胞ライブラリーを使ったがん細胞との相互作用解析を行い、がん細胞のEMT・浸潤能・増殖能(細胞周期)を網羅的に明らかにする。具体的には、線維芽細胞ライブラリーのマイクロアレイ解析などによる患者個人による遺伝子プロファイリング、共培養における遺伝子発現変化のアレイ解析によるEMT・浸潤能・増殖能(細胞周期)の網羅解析を行う。また、平成23年度に行った臨床病理学的解析結果と照合して臨床的な価値を再検討する。さらに、当初の目的である治療標的分子について、すでに約30分子の候補を得ているため、予定通りに阻害実験をin vitro/in vivoで進めて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請内容どおりに消耗品などを購入する予定であり、備品購入は予定していない。
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Research Products
(5 results)