2011 Fiscal Year Research-status Report
GSK3β阻害による消化器がん治療法の開発と分子機構の解明
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23591955
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
廣瀬 まゆみ 金沢大学, がん進展制御研究所, 研究員 (00353524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
源 利成 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (50239323)
川上 和之 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (00293358)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | GSK3β / 消化器がん / 抗がん剤 / 薬剤スクリーニング |
Research Abstract |
我々は、GSK3β阻害による細胞生存や増殖抑制効果を大腸がんをはじめとする各種消化器がん細胞と動物実験で実証してきた。現在、開発が進められているGSK3β阻害剤は治療薬に至っていない。そこで、GSK3β阻害効果にもとづくがん治療法の実験的根拠を大腸がんを中心に示し、その成果をもとに他の消化器がん、とくに膵がんなど強度の浸潤と治療抵抗性を特徴とする難治性がんの治療法開発への応用性を見極めることを目的とする。 本年度は、新規合成阻害剤と、本来の薬効とは関係なくGSK3β阻害効果が判明した医薬品について、培養がん細胞のGSK3β阻害効果と、細胞生存や細胞運動性に対する効果を検討した。(1)本学薬学類と共同で合成した3種類の新規合成化合物については、それぞれ10 nM-50 μMの範囲で試験管内酵素活性測定法により解析したが、大腸がん細胞由来のGSK3β活性に対する一定の阻害効果は認められなかった。このため、これらの化合物については、がん細胞に対する効果解析を実施しなかった。(2)GSK3β阻害医薬品の効果をグリコーゲン合成酵素のリン酸化レベルの変化を指標に解析した。その結果、いくつかの医薬品がGSK3β活性阻害作用を示した。また、これらの医薬品は薬理学的濃度の範囲で、大腸がん細胞の生存と運動を抑制した。(3)cell-based ELISA(cELISA)によるGSK3β阻害剤のスクリーニング法を開発するために使用するグリコーゲン合成酵素のリン酸化ペプチド特異抗体をデザインし、企業に委託、作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の体調不良のため、研究計画が遅延している。グリコーゲン合成酵素のリン酸化レベルの変化を指標にGSK3β阻害医薬品の効果を解析する予定であったが、全ての医薬品について解析ができなかった。また、対象化合物や医薬品のGSK3β阻害効果をがん細胞内で評価する測定系(cELISA法)の開発に必要となるグリコーゲン合成酵素の組み替え蛋白質および単クローン抗体の作成を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究分担者と連携し研究計画のスピードアップを計り、着実に遂行する。次年度は、1: GSK3β阻害医薬品のGSK3β活性阻害効果の測定と検証、2: GSK3β阻害医薬品のがん細胞に対する効果解析、3:対象化合物や医薬品のGSK3β阻害効果をがん細胞内で評価する測定系(cELISA法)の開発と、それに必要となるグリコーゲン合成酵素の組み替え蛋白質および単クローン抗体の作成、4:GSK3β阻害ががん細胞の遊走や浸潤に及ぼす効果の解析、5:がん細胞の抗がん剤や放射線感受性に対するGSK3β阻害の効果解析を順次、行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度研究を進めるうえで常時、必要になる試薬、消耗品類や成果発表などに必要な経費として使用する。消耗品類として、GSK3β阻害薬、細胞培養試薬、生化学キット、細胞生物学キットなどを購入予定である。当該年度に繰越金が生じたのは、研究計画が遅延しているためである。発生した繰越金は、次年度のcELISA法の開発のための単クローン抗体の作成にあてる計画である。
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Research Products
(13 results)