2012 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌における細胞分裂期チェックポイント異常の系統的解明と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
23591964
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鴻江 俊治 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (30215199)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛地 吉弘 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80284488)
辻谷 俊一 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (30188544)
森田 勝 九州大学, 大学病院, 講師 (30294937)
大賀 丈史 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター(臨床研究部), その他部局等, その他 (60335958)
北尾 洋之 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30368617)
江頭 明典 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, その他 (00419524)
園田 英人 九州大学, 大学病院, その他 (00465725)
|
Keywords | 大腸癌 / ゲノム不安定性 / BUBR1 |
Research Abstract |
大腸癌治療における新たな分子標的を策定することを目標として、細胞分裂期のスピンドル(紡錘体)チェックポイント機構の異常に関し、BUBR1を中心に系統的に解析した。H23~24年度は、大腸癌切除標本組織におけるゲノム不安定性(染色体不安定性およびマイクロサテライト不安定性)の系統的解析を行った。 【方法】1)大腸癌切除標本140例を用いて、染色体不安定性の形質としてDNA ploidyをLaser Scanning Cytometryを使用し、解析した。2)マイクロサテライト不安定性の形質としてmicrosatellite instability (MSI)を高分解能蛍光マイクロサテライト解析法により評価した。3)細胞分裂期スピンドルチェックポイント因子の発現の解析としてBUBR1のモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色によりBUBR1の蛋白発現レベルを解析した。さらに関連遺伝子としてp53発現異常およびTP53遺伝子変異を解析した。 【結果】①BUBR1高発現94症例のうち68例(72.3%)がDNA aneuploidy;低発現46症例のうち24例(52.2%)のみがDNA aneuploidyと有意に低い頻度であった。②BUBR1高発現94症例のうち49例(52.1%)にp53発現異常;低発現46症例のうち15例(32.6%)のみがp53発現異常を示した。さらに相関して、TP53遺伝子変異はBUBR1高発現症例で38例(40.4%);低発現症例で10例(21.7%)。③BUBR1高発現94症例のうち、わずか9例(9.6%)がMSI;低発現46症例のうち、12例(26.1%)がMSIを示し、有意に高い頻度であった。 以上より、大腸癌においてCIN型に認められるaneuploidyにBUBR1およびp53発現異常が関与している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲノム不安定性の検討として、Laser Scanning Cytometryを使用したDNA ploidyの解析により染色体不安定性を、また、高分解能蛍光マイクロサテライト解析法によるmicrosatellite instability (MSI)からマイクロサテライト不安定性を140例すべてにおいて明らかにした。さらに、細胞分裂期スピンドルチェックポイント因子としてBUBR1の発現を免疫組織化学染色により解析した。さらに関連する遺伝子としてp53の発現異常とTP53遺伝子変異の解析を終了した。しかしながら、その他の遺伝子として、MAD2, Aurora A, Aurora B, Plk1の発現解析が行われていない。この点はH24年度の計画であったから、研究進捗がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度までの研究はやや遅れているが進んでいる。また、研究結果は当初の推定どおりであった。したがって、H25年度は当初の計画どおりに遂行する。 大腸癌切除標本組織における細胞分裂期スピンドルチェックポイント因子の発現を免疫組織化学染色により系統的に解析する。H24年度までにBUBR1の発現解析は終了したので、H24年度は、その他の因子として、MAD2, Aurora A, Aurora B, Plk1の発現レベルを解析する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度同様、研究の遂行に必要な実験機器等は現有設備で行うことができるので、当初の予定どおり、設備備品費は不要である。申請する金額のほとんどは免疫組織化学染色を遂行するために必要な抗体および試薬等の消耗品費である。また、H24年度の研究結果を国内学会にて報告するため、旅費を計上した。
|
Research Products
(17 results)
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Histone chaperone activity of Fanconi anemia proteins, FANCD2 and FANCI, is required for DNA crosslink repair.2012
Author(s)
Sato K., Ishiai M., Toda K., Furukoshi S., Osakabe A., Tachiwana H., Takizawa Y., Kagawa W., Kitao H.,Dohmae N., Obuse C., Kimura H., Takata M., Kurumizaka H.
-
Journal Title
EMBO J
Volume: 31(17)
Pages: 3524-36
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Prognostic relevance of KRAS and BRAF mutations in Japanese patients with colorectal cancer.2012
Author(s)
Nakanishi R., Harada J., Tuul M., Zhao Y., Ando K., Saeki H., Oki E., Ohga T., Kitao H., Kakeji Y.,
-
Journal Title
Int J Clin Oncol
Volume: Nov 29
Pages: ahead of print
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-