2012 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸制御ミルクと新生マウス人工哺乳システムによるアミノ酸特異的腸管機能の解析
Project/Area Number |
23591976
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
吉田 和弘 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10220633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山辻 知樹 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (40379730)
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Keywords | アミノ酸 / 腸管細胞増殖因子 |
Research Abstract |
1.アミノ酸制御ミルクが新生マウスに与える影響の評価:我々がこれまでに腸管細胞増殖因子として働きうることを報告したロイシン、アルギニンおよびグルタミンを選択的に欠如、あるいは付加したアミノ酸ミルクを調整し、新生マウスに対し各々投与した。その結果、グルタミン欠如ミルクを与えられたマウスでは、通常ミルクを与えられた群に比較して高頻度に致命的な出血性腸炎が出現した。グルタミンが新生マウスにおいて、腸管の正常な機能発現に必須要素であることを示唆する結果であることのみならず、同グルタミン欠如ミルクを与えられたマウスがこれまで知られていなかった出血性腸炎の動物モデルとなる可能性が示唆された。腸管・肝臓をはじめ消化器・免疫担当臓器の病理学的解析を行っている。さらに細胞増殖因子に関わる免疫組織学的染色、さらに電子顕微鏡による解析を加える。また、各組織において、細胞増殖、細胞周期あるいは細胞死に関わる分子の発現をウエスタン・ブロッティング法により解析した。 2.腸管上皮培養細胞におけるアミノ酸を介する細胞増殖シグナルの解析・検討:腸管に対するアミノ酸シグナル伝達系を解析する培養細胞として、小腸腸管上皮培養細胞IEC6に対し、グルタミン濃度を0から4nMに設定して24-48時間培養したところ、グルタミン欠失による明らかな増殖抑制を認めた。グルタミン欠失によるIEC6の細胞増殖抑制機構を解明するため、細胞増殖に関わる分子の発現をウエスタン・ブロッティング法により行い、さらにフローサイトメトリーにより細胞周期やアポトーシスとの関与を解析している。特定のアミノ酸の添加あるいは欠失が細胞増殖・細胞周期あるいは細胞死に与える影響を解析する。 3.これまでに解明された結果に文献的考察を加え、学会および誌上発表の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.アミノ酸制御ミルクが新生マウスに与える影響の評価:グルタミン欠損ミルクを投与されたマウスに出血性腸炎が出現し、その頻度についてはおおむね判明したが、腸管出血の特異的発症機構については現在検索中である。各臓器の病理学的解析に加え、免疫組織学的染色、さらに電子顕微鏡による解析を加える必要がある。さらに各臓器におけるタンパク発現を検索することにより新規腸管出血モデルとしての確立にむけてさらなる知見が集積されると考えている。 2.小腸腸管上皮培養細胞におけるアミノ酸を介する細胞増殖シグナルの解析:腸管上皮細胞であるIEC6においてグルタミン欠失による増殖抑制が認められたが、現在グルタミン欠失によるIEC6の細胞増殖抑制機構を解明するため、細胞増殖に関わる分子の発現をウエスタン・ブロッティング法により確認し、フローサイトメトリーにより細胞周期やアポトーシスとの関与を解析する。 以上より研究目的は当初予定通り、おおむね順調に達成していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.アミノ酸制御ミルクが新生マウスに与える影響の評価:前述のとおりグルタミン欠損ミルクを投与されたマウスに出血性腸炎が出現し、その頻度についてはおおむね判明したが、その発症機構について分子生物学的な検索が必要である。今年度以降は臓器の病理学的解析に加え、免疫組織学的染色、さらに電子顕微鏡による解析を加える。また、各臓器において細胞増殖に関わるタンパク発現をウエスタン・ブロッティング法により行い、増殖シグナルの解明を行う予定である。 2.小腸腸管上皮培養細胞におけるアミノ酸を介する細胞増殖シグナルの解析:腸管上皮細胞であるIEC6においてグルタミン欠失による増殖抑制が認められた。今後グルタミン欠失によるIEC6の細胞増殖抑制機構を解明するため、細胞増殖に関わる分子の発現をウエスタン・ブロッティング法により検討したが、さらにフローサイトメトリーにより細胞周期との関連やアポトーシスとの関与についても解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アミノ酸制御ミルクが新生マウスに与える影響を解明する実験において、グルタミン欠失マウスに出血性腸炎が発症することが判明した。このような生体所見の頻度には通常個体間でのばらつきが大きく、当初の予定ではその頻度の確定に時間がかかる可能性があると予想していたが、比較的順調に進捗し、実験動物購入費にかかる費用の支出が抑えられた。そのため次年度使用額は平成25年度請求額とあわせて、アミノ酸からmTORを介する細胞増殖シグナルの解析・検討および各アミノ酸のシグナル伝達分子としての意義を解明するために必要な以下の使用を主に予定している。 1.小腸腸管上皮培養細胞におけるアミノ酸を介する細胞増殖シグナルの解析については、IEC6細胞の培養手技の難易度が若干高く、再現性のあるデータの確定に時間を要した。そのため、細胞増殖に関わる分子の発現を確認するために行うウエスタン・ブロッティング法やフローサイトメトリーについては今後比較的大規模に行う必要がある。よってこれらの実験に関わる設備と細胞・分子生物試薬費が次年度以降に必要となる。 2.現在これまでに解明された結果に文献的考察を加え、学会および誌上発表の準備中である。研究初年度に得られたデータを含め、総括した段階で発表予定であることから、学会発表および調査に必要な旅費は現在比較的抑えられているが、次年度以降必要となる予定である。
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