2013 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸制御ミルクと新生マウス人工哺乳システムによるアミノ酸特異的腸管機能の解析
Project/Area Number |
23591976
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
吉田 和弘 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10220633)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山辻 知樹 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (40379730)
|
Keywords | アミノ酸 |
Research Abstract |
1.アミノ酸制御ミルクが新生マウスに与える影響の評価:新生マウス人工哺乳システムを用いて、各種アミノ酸のうち、腸管細胞増殖因子であることが判明したロイシン、アルギニンおよびグルタミンを選択的に欠如、あるいは付加したアミノ酸制御ミルクを調整して新生マウスに対し投与した。グルタミン欠如ミルクを与えられたマウスでは、通常ミルクを与えられた群に比較して高頻度に出血性腸炎が出現した。グルタミン欠如ミルクを与えられたマウスの腸管において、病理学的に著明な炎症細胞の浸潤と腸管上皮構造の破壊が認められた。細胞増殖の指標であるBrdUの取り込み阻害および Ki-67の発現抑制が各々の免疫染色によって判明し、アポトーシスの指標であるCleaved Caspase-3の強い発現が認められた。電子顕微鏡による解析でもアポトーシスの増強が示された。 2.腸管上皮培養細胞におけるアミノ酸増殖シグナルの解析:小腸腸管上皮培養細胞IEC6において、グルタミン欠失による明らかな増殖抑制を認めた。IEC6の増殖抑制機構を解明するため、フローサイトメトリーを行ったところ、グルタミン欠失によるG1G2期の変化は認められず、sub-G0期の細胞数増加を認めた。ウエスタン・法により、グルタミン欠失によるCleaved Caspase-3の増加が示され、アポトーシスの関与が示唆された。 3.本研究の意義および重要性:本研究はこれまで単なる栄養素として理解されてきたアミノ酸が、独立した腸管細胞増殖因子として機能することを明らかにした。また、腸管増殖を誘導するアミノ酸であるグルタミンの欠損が腸管細胞にアポトーシスを誘導し、腸管出血を引き起こすことから、新たな炎症性腸疾患モデルとなり得る可能性がある。これまでの結果に文献的考察を加え、学会および誌上発表準備中である。
|